「部下がやる気にならない」と悩む管理職に求められる3つの視点
効力感をフィードバックする
最後に、評価の伝え方です。キーワードはメンバーの感じる「効力感」。SNSに馴れた世代は承認欲求が強い、などといわれることがありますが、なんでもかんでも褒めていればいいわけではありません。 一時期、「ホワイト過ぎる会社を辞める若者」が話題になったのを覚えているでしょうか。いわゆるブラック企業が問題なのはいうまでもありません。ところが、あまりにもホワイトな環境は、若者にとってかえって"ぬるい"と思われてしまい、離職の理由の一つになっているそうです。 働き手の側にあるのは成長できないことへの怖さです。長く勤めてさえいれば年功制で給与が上がっていく時代ではありませんから、生き抜いていくためには自分の成長が不可欠だという危機感を持っています。つまり非常に高い成長欲求を秘めているわけです。 それを踏まえると、ポイントは、プロセスを評価することです。メンバーがやってくれた仕事一つひとつについて、その「効力」をフィードバックしましょう。良い効力も、悪い効力も、両方です。悪い結果であっても、それを伝えることで本人は自分の仕事が何らかの影響を及ぼしたことを知ることができます。 最悪なのは「あとは大丈夫」などと言って変に隠してしまうこと。かばっているつもりでも、本人は「自分の仕事には何の意味もない」「いてもいなくても同じ」とかえってモチベーションを下げる恐れがあります。 メンバーは、大きな組織では歯車の一つなのかもしれません。しかし感情や成長欲求がある人間です。確かな一歩を自ら踏み出して、その足跡を確認して、間違いなく前進していると信じたいのです。
小川実(一般社団法人成長企業研究会 代表理事)