「部下がやる気にならない」と悩む管理職に求められる3つの視点
管理職もビジョンを語る
まずリーダーである管理職がビジョンを持ち、語ること。会社には経営理念やビジョンがありますが、私は部や課、係といった組織のリーダーも、それぞれがビジョンを掲げたほうがよいと考えています。 近年、若い年代の人ほどお金やモノに対する執着がなく、誰かの役に立つことや社会への貢献に喜びを感じるようになっています。仕事の意味や意義を大事にしていると言い換えてもいいでしょう。 しかし仕事をしていれば、意味や意義を感じにくい作業や時間もあるものです。そんな中で、身近な管理職がビジョンを持たず「やらされ感」を出していたら、組織内にもやらされムードが蔓延してしまいます。 自分の組織が会社の中でどんな役割を担い、何を成し遂げようとしているのか。自分なりに言語化してみると、組織のムードもよくなり、メンバーとの接し方にも軸ができるので迷いや悩みが減っていくはずです。
肩書ではなく役割を明確にする
もう一つは、役割を明確にすることです。2021年、テスラのイーロン・マスクCEOが自らを「テクノキング」と名乗り話題になりました。テクノロジーの王様、といったことなのかもしれませんが、実はこの肩書きには「なんだかユニーク」以外の意味はほとんどありません。何しろイーロン・マスク氏の権限や職務は何一つ変わらないというのですから。 考えてみると、会社員の人が名刺を渡す際に「●●社の営業課長の小川です」などと肩書きを説明するケースは少ないように思います。たいていは「●●社の小川です」で済んでしまいます。外部の人にとっては肩書きなどそれほど意味がないのかもしれません。 大事なのは肩書きではなく、組織図と役割です。まず組織図があって、組織図に役割を当てはめていって、そこにはじめて肩書きがつくのです。 組織図は、社員に名札をつけて単に組み合わせを考えるパズルではありません。みなさんの組織のメンバーには、それぞれ明確な役割が設定されているでしょうか。「年間予算1億円の営業担当」とか、そういうことではありません。組織のビジョン達成のために何を担う人なのか、という役割です。 もし特に決めていないのだとしたら、ぜひ考えてみてください。新規顧客を開拓してほしいとか、資料作成の完成度を高めてほしいとか、一人ひとりの特性に合わせた「やってほしいこと」があるはずです。