ベールを脱いだ虎の新守護神候補ケラーはスアレスの穴を埋めることができるのか?
福岡で活動している阪神OBの評論家、池田親興氏は、「デビューとしては鮮烈な印象は残らなかった」と分析した。 「打者4人を見ただけなので、この時点での評価は難しい。とびきりコントロールがいいわけではないが、ボールが暴れるタイプではないので自滅はしないだろう。中継ぎ、抑えの投手は、球種はそう多く必要ではない。ただカウントを取るボールと空振りの取れるボールは必須。それが彼の場合はカーブなのだろうが、そのウイニングショットを生かすためには、もっとストレートのスピードが上がってこないと苦しい。阪神に以前いたピアース・ジョンソンもカーブとストレートの2種類の投手だったが、ストレートは150キロ後半は出ていた。ケラーのメジャー時代のデータは、平均球速が151キロ~153キロで、最速157キロは出るらしいので、今後、調整が進んで、どこまでボールの力を取り戻せるか次第」 池田氏が指摘するように2019年に阪神でプレーしたピアース・ジョンソンはパワーカーブを武器に40ホールドをマークして「8回の男」としての役目を全うしたが、ストレートは155キロ以上出ていた。まだ来日して2週間も経っていないケラーがどこまで本来のストレートの力を取り戻せるかが、成功の指針になるのかもしれない。 ケラーは昨季パイレーツでプレー。32試合に登板し、1勝1敗、防御率6.48の成績だったが、3Aインディアナポリスでは、13試合に登板し、2勝0敗、防御率1.96という数字を残している。 矢野監督の構想では、当面は、クローザーは左腕の岩崎優に任せ、ケラーにはセットアッパーの役割を期待しているとのことだが、この日、中継ぎ左腕の及川雅貴が右脇腹を痛めて開幕に間に合わないことが明らかとなり、まだ勝利方程式は確立されていない。 ブルペン陣では、ここまで矢野監督が期待を寄せる小野泰己が復活の気配を見せ、4年目の湯浅京己、2年目の石井大智、先発、中継ぎの両にらみで調整している3年目の小川一平らが台頭しているのが好材料だが、あくまでもオープン戦での結果で、開幕してみないと計算の立たないのが実情。