阪神・佐藤輝明の新4番抜擢は正解か…2年目に変貌を遂げた2つのポイント…甲子園OP戦初戦で先制打と弾丸二塁打
阪神が4日、甲子園球場で楽天とオープン戦を行い1-2で逆転負けを喫した。DHが採用されたが、阪神は開幕オーダーを想定した布陣を組み、4番に2年目の佐藤輝明(22)を抜擢。さっそく先制打とフェンス直撃の強烈な二塁打を放ち、新4番の存在感を示した。三振をしない確率性の高いスタイルに変貌、進化した佐藤がV使者になれるのか。
ポイントの近い軸足打法でバットを折りながら先制打
2022年のタイガースは新4番・佐藤の先制タイムリーから始まった。 甲子園でのオープン戦初戦。矢野監督はマウンドに開幕の最有力候補の青柳を送り、4番に佐藤を抜擢した。楽天が相手でDH制が採用され、糸井が「6番・DH」で起用されたが、ほぼ開幕を想定したオーダーである。 初回二死三塁の先制機に佐藤に打席が回ってきた。相手も開幕有力候補の則本。捕手の大型ルーキー安田はインサイドに構えた。149キロのストレートは内角ギリギリのストライクゾーンに投じられたが、佐藤は平然と見送る。2球目は外角低めに落とすフォーク。佐藤が昨年苦しんだ典型的配球である。 だが、佐藤は揺さぶられない。 3球目には内角でストライクをとられ、4球目の151キロのストレートは内角に外れた。カウント3―1からの勝負球は、139キロの内角へのフォーク。スッポ抜けだったが、どん詰まりとなり、バットを折りながらも、しっかりと軸足に重心を残して振り切ったため打球は一、二塁間を抜ける先制タイムリーとなった。4番の仕事を果たす。 第2打席は一塁ゴロに終わるが、圧巻は7回、先頭打者で迎えた第3打席である。 楽天2年目の高田にまた内角→外低めの変化球の組み立てで攻められるが、カウント2-2から145キロの絶好球を逃さなかった。誰もが、打った瞬間、行ったと思った火を噴くような打球は、ライトフェンスの下部を直撃。ライトの打球処理ミスもあり、佐藤は一気に三塁に到達した。 阪神で7年間コーチを務めた評論家の高代延博氏は、2つの変化に注目した。配球の読みと、打撃フォームの改造効果だ。 「楽天バッテリーは内角を意識させようとしてきたが、その配球を佐藤は読んでいた。ライトフライに終わった9回の第4打席も配球を読んで変化球を狙っていたように見えた。昨年は、内角を攻められ、そこを意識すると変化球、変化球を頭にいれると、逆に内角球と、いわゆる配球を追いかける形になって後手に回っていたが、今季は配球の先を読む意識の変化がある。59打席ノーヒットに象徴される後半のスランプが、佐藤にとっては2年目のジンクスみたいなもので、その経験が今季に生きているのではないか」 高代氏は、9回無死一塁でカウント1-1から高田のスライダーを狙い打ったライトフライに配球を読む成長を感じたという。