映画『きみの色』山田尚子監督×はくいきしろい対談。嫉妬し合うふたりが語る、色と光の表現
監督と、劇中歌「水金地火木土天アーメン」CDジャケットを手がけたアーティストが語り合う
社会現象を巻き起こした『映画けいおん!』(2011)をはじめ、『映画 聲の形』(2016)、『リズと青い鳥』(2018)、テレビアニメ『平家物語』(2022)など、登場人物たちの日常や揺れ動く心象風景を繊細な映像演出で描き、国内外で多くのファンの心を掴んできた山田尚子。その最新作にしてオリジナル長編作品である『きみの色』が、8月30日から公開されている。 脚本は『けいおん!』シリーズ以降、数々の作品で山田とタッグを組んできた吉田玲子。音楽と劇伴は『映画 聲の形』『リズと青い鳥』『平家物語』に続く4作目の山田尚子監督作となる牛尾憲輔が担当している。 主人公は高校生のトツ子。人が「色」で見える彼女は、ある日、同じ学校に通っていた美しい色を放つ少女・きみ、音楽好きの少年・ルイと出会う。それぞれに悩みを抱える彼女たちはバンドを結成。離島の古教会で練習に励みながら心を通わせていく。やがて訪れる学園祭で、3人のバンド「しろねこ堂」は初ライブに挑むことになる――。 今回、しろねこ堂が歌う劇中歌「水金地火木土天アーメン」のCDジャケットのアートワークを手がけた「はくいきしろい」と、山田尚子監督の対談を実施。はくいきしろいは、鑑賞者がステッカーをカットして身近な物に貼るという行為を、作家と鑑賞者の共犯行為として作品コンセプトに取り入れ、鮮やかな色がダイナミックに重なり合う「あのステッカー」で知られるアーティストだ。今作ではCDジャケットに加え、映画とのコラボレーション作品も制作した。 初対面ながら、クリエイターとして意識し合う存在だったというふたりは、互いの作品をどのように見ていたのか? 対談では『きみの色』における色彩表現をはじめ、8月30日から配信がスタートした山田監督のショートフィルム『Garden of Remembrance』についてや、コラボ作品の制作背景などを語り合った。