「プロ野球90年」DeNAファンの歌手・相川七瀬さんが語る日本一の喜び 「ピッチャーは一人でステージに立っているよう。自分と重ね合わせます」
ビジターの球場にも行きます。去年は最後にマツダスタジアムでの広島とのCSを外野席で観戦しました。ビジターファンのエリアはほんの少ししかないんですけど、終盤で送りバントを失敗して「もうだめだ」というムードになりそうだったところで、応援団の人が「バントがだめならホームラン打ってもらおう」と盛り上げて、そこから「ホームラン、ホームラン」のコールが始まった。自分も応援される側にいる人間なので、応援している人たちの気持ちにすごく感動しました。「みんなが一緒に戦っているんだな」という感覚は、あそこに行かないと分からなかった。 マツダスタジアムや甲子園のレフトスタンドを経験してから、野球は外野席が面白いんだなって気付きました。外野は「エモい」ですね! ▽ハマスタは思いが違う 好きな球団の聖地で歌えるのは、すごくうれしいです。ファンとしてハマスタでのドラマを経験しているので、やっぱり思いが違う。あそこに立っていることの重みを感じて歌っています。
自分のライブに来てくれるファンの方々とは、ここでタオルを投げるとか、ここでみんなで飛ぶとか、長い時間の中でつくられた合いの手などがありますが、球場では私の音楽を初めて聞く人も多い。それでも「夢見る少女じゃいられない」などで、同じタイミングでジャンプしてくれる。いかに野球ファンの人たちに「相川七瀬を聴けて良かったな」と思ってもらうかというのは、普段と違う仕事の楽しさだと思います。 選手がどういうふうに自分の心をコントロールしているのかにも関心があります。たとえばすごく難しい場面を任される中継ぎのピッチャーが、どういうメンタルの持ち方をしているのかなということにはすごく興味がある。ホームであれば後押ししてくれる声援がありますが、ビジターの場合は逆に押されてしまう環境の中で、失敗できない場面で一球に入魂しなければいけない。 私がライブで歌詞を間違えてもエンターテインメントになり得るのですが、アスリートは失敗が許されず、それが勝負の分かれ道になる。「こういう場面で自分は平常心でいられるかな」とよく考えます。