「金利のある経済」に移行する日本の変化とは、「MASAMITSU 日本株戦略ファンド」運用責任者に聞く
――「MASAMITSU 日本株戦略ファンド」は2014年11月の設定で10年近い運用実績があります。設定来のパフォーマンスではTOPIX(東証株価指数)を上回っていますが、過去5年となるとTOPIXに劣後しています。この理由は?
大木 2022年に欧米市場がインフレになって中小型株が売られるということが起きました。インフレ期に大型株が選好されることはよくあることなので、欧米市場の変化は予測できる動きだったのですが、インフレになっていない日本の中小型株もこの時一緒に売られたのです。これは想定外の動きでした。
ファンドは、中小型株に特化した運用を行うわけではないのですが、運用の付加価値を上げるため、個別銘柄の調査や分析によって大きな成長が狙える中小型株は、ファンドのコア資産の1つになっています。その分野が想定外に下落したため、市場に負ける結果になりました。
ここ2~3年の日本株相場は、米国の大型グロース偏重の相場に似ています。米国株の運用でアクティブファンドはインデックスに勝てなくなったといわれて久しいですが、それと似たような状況が日本株でも起きました。日本株には、まだまだ大型株にはない中小型株のダイナミックな成長があると思っていますが、過去3年は残念ながら流動性が重視された大型株優位の展開が続きました。
岩重 確かに、過去5年のパフォーマンスでTOPIXに勝てていないのですが、中小型株を戦略的に組み入れてパフォーマンスで実績のある日本株アクティブファンドの中では、「MASAMITSU 日本株戦略ファンド」はよく健闘していると評価していただけています。今、日本株のアクティブファンドで活躍しているように見えるのは、過去10年のパフォーマンスが悪かったファンドに多いです。
アベノミクス相場などでパフォーマンスが劣後していたアクティブファンドの一部が、総合商社や鉄鋼、自動車など大型株に追い風が吹いた2022年以降の相場でたまたま救われたようなところがあります。それらの銘柄を抱えていただけのファンドが、今後10年、20年という先を展望して勝てるといえるのでしょうか? 戦略的にポートフォリオを構築している「MASAMITSU 日本株戦略ファンド」との戦略の違いは、今後のパフォーマンスに現れると思います。