マジョルカ移籍の久保建英が即デビュー…途中出場ながら大声援を受け存在感示す…「五輪を経験し選手としてより良くなった」
流暢なスペイン語と画面下側に日本語のテロップが流れる動画のなかで強調したのは、自身のゴールや味方のゴールをアシストするプレーをもっともっと増やして、4ゴール4アシストをマークした2年前とはさらに違う自分を見せる決意だった。 「昨シーズンの(マジョルカの)試合を見た。2年前に僕がいたときとは違うことはわかっている。いまの方がかなりいい。僕もオリンピックという重要な大会を経験した。選手としてより良くなったと思うし、もっとチームを助けて今回は目標を達成したい」 昨シーズンから指揮を執るルイス・ガルシア監督のもとで、ラ・リーガ2部で2位に食い込み、1年での1部復帰を果たしたマジョルカへ久保は最大級の敬意を示した。 その上で、保有権を持つレアル・マドリードからの期限付き移籍契約が満了したとはいえ、マジョルカからビジャレアル、そして1月にはヘタフェへと移った昨シーズンに抱き続けていた古巣への思いを、独特の単語を使いながら表現している。 「前回は2部降格というトゲが刺さった。このチームがさらに偉大な存在になるように、最大限の手助けをするために僕はここに来た」 一度は別々の道を歩んだマジョルカには、多くの仲間たちが残留して2部を戦った。再び顔を合わせた選手は計11人。そのなかには久保をして「18歳の少年だった僕をとても可愛がってくれて、活躍するためにどうすればいいのかを教えてくれた。僕にとっての先生だった」と感謝させる守護神、36歳のマノロ・レイナも含まれる。 今シーズンのキャプテンを務めるレイナだけではない。MFダニ・ロドリゲス、MFラゴ・ジュニオール、DFマルティン・ヴァルイェント、MFアレックス・フェバスらが、久保の新天地候補にマジョルカがあがっていると知るや、また一緒にプレーしようとメッセージを送ってきた。熱い思いが込みあげてきたと久保は振り返る。 「マジョルカのことを恋しく思っていた。ここにはたくさんの友人がいて、自分の家にいるような感覚がある。彼らからのメッセージを受け取ったときに、このチームの一員になりたいと思った。ただ、自分のことを新しく加わった選手だとは感じていない」 マジョルカでもう何年もプレーしているかのように、違和感なく練習に合流した久保を見たガルシア監督も、ベティス戦のメンバーに加えることを即決した。背番号は中心選手の証となる『10』に東京五輪でも背負った『7』を足した『17』に決まった。 開幕へ向けたキャンプにはいっさい加わっていない。それでも16日間で6試合を戦った東京五輪を終えたばかりの久保は試合に対する鋭敏な感覚と、国を背負った戦いで身長173cm体重67kgの身体に搭載した新たな武器が宿っていた。久保が言う。 「僕は多くのリズムをつかみ、90分間にわたって目いっぱい走ることができる。守備の仕事でもサポートできるし、選手として僕はかなりよくなっている」 久保が途中出場の準備を始めたときは、マジョルカが1点をリードしていた。交代直前に同点とされたとはいえ、攻撃力だけでなく守備でも貢献してくれるとわかっていたからこそ、中盤の攻撃的なポジションならすべて任せられる久保を最初の交代カードとして、FWアマト・エンディアイエと同時にピッチへ送り出した。