マジョルカ移籍の久保建英が即デビュー…途中出場ながら大声援を受け存在感示す…「五輪を経験し選手としてより良くなった」
新天地へ加入してからわずか3日。昇格組のマジョルカへ2年ぶりに復帰した東京五輪代表MF久保建英(20)が、ラ・リーガ1部の2021-22シーズン開幕戦のピッチに立った。 ホームのエスタディ・デ・ソン・モイシュで、日本時間15日未明に行われたベティスとの開幕節。1-1の同点に追いつかれた直後の後半16分から投入された久保は、同29分に相手のファウルでも倒れない力強い突破から直接フリーキックを獲得。自らキッカーを担ったが、約25mの距離から放たれた一撃はゴールの枠をとらえられなかった。 試合はそのまま引き分けたが、マジョルカは昨シーズン6位に入ったベティスから勝ち点1を獲得。2019-20シーズンに経験した2部への降格を「トゲが刺さった」と振り返った久保は、自ら望んで復帰を決めたマジョルカを今度こそ1部残留に導くべく、東京五輪の戦いで得た経験や自信を「恋しく思っていた」という古巣へ還元していく。
背番号は「17」自ら得たFKチャンスも…
無意識のうちに生じたり気味がキックミスを誘発してしまったのだろう。左足から放たれたボールがクロスバーを大きく越えていく軌道を見届けた久保は何かをつぶやき、振り向きざまにペロリと舌を出した。表情には悔しさが刻まれていた。 勝ち越しゴールを奪う後半30分のチャンスは潰えたが、直接フリーキックを獲得するまでの数秒間に、マジョルカの一員として久保が抱く覚悟と決意が凝縮されていた。 敵陣でパスを受けた久保を標的に、ベティスのMFポール・アコクが両足でタックルを見舞ってきた。直撃すれば大けがを負いかねない、極めて危険なプレーにも怯まなかった久保は間一髪でかわし、さらに体勢を崩しながらも前へと進んでいった。 立ち上がったアコクも久保を追い、後方からファウルで止めにくる。それでも歯を食いしばりながらゴールを目指す久保へ、アコクもどんどんエスカレートする。ようやく久保が倒され、ファウルを繰り返したアコクにはイエローカードが提示された。 後方にセンターサークルが見える位置でパスを受けた久保は、最終的にゴールまで25mの位置までボールを運んだ。ただ、セットプレーのキッカーを担う37歳の大ベテラン、MFサルバ・セビージャは自身との交代でベンチに下がっていた。 僕が蹴る――。ボールをセットしながら意思を示した久保の近くには、マジョルカの選手は誰もいない。任されたからこそ決めたかった。だから、悔しかった。 「ゴールへ向けては、僕はより多くのハングリーさがある」 ベティス戦の前日にクラブ公式YouTubeで公開されたインタビューで、久保は現地時間11日に発表された復帰後で初めてとなる肉声をファン・サポーターへ届けた。