「ロケーション負け」に打ち勝つ心・技・体/松山英樹のコーチ・黒宮幹仁が語る2024年の歩み<後編>
黒宮は米国に行く前から「向こうの選手は体が相当アスリートなんだろうな」と仮説を立てていたが、一年間帯同して確信したという。「だって、朝ジムに行ったら必ずみんないますもんね。しっかり汗をかいて、そこから練習に向かう。完全に振れる状態でレンジに来ます。ロリー(・マキロイ)とか練習場でクリーク(5W)を握って初速184マイル(約82m/s=ドライバーの初速が平均80m/sを超えればかなりの飛ばし屋とされるので異常な数値)を出しますからね。そのスピードを出すために、事前にトレーニングして朝も体を作ってからくる。あれを見たら普通の選手だったら『やらなきゃな』ってなりますよ」 ◇◇◇
年末、世間がオフモードに突入する中で、チーム松山はハワイの2連戦に向けて出国した。つかの間の休みが終わり、すぐにまた25年シーズンが始まる。「今は本当にいいチーム。早藤キャディも、須崎トレーナーも、レップの宮野さん(用具担当の宮野敏一氏)も含めて、松山プロがやらなきゃいけないことを全員でサポートできていると思います」とチーム力を誇る。
新シーズンに向けて、黒宮はどんなプランを描いているのだろうか。「やることは一緒。これ、ほんとずーっと一緒なんですよ。ですから継続することがどれだけ難しいか。今年できたことが来年もできるかが課題なんです」と深く息を吐く。 「2024年はその前の年の悔しさがあったからこそ一年間走り切れた。正直、80点近く獲れたんじゃないかと思っています。となると、来年(のスタート時点)は悔しさがあまりないわけですから、そこをまた悔しさを抱えてうまくスタートダッシュできた今年と同様に1月から始められるようにしないといけない。今年と同じスタートを切れれば、早い段階で(ポイントランキング)50位以内も見えてくると思っています。俺がいる以上絶対やらせますよ」 そう力強く言い切った黒宮の目は、すでに来年の戦いの舞台を見据えていた。