斎藤工の色気は健在!『昼顔』から10年『海に眠るダイヤモンド』での“色気の自家発電力”がすごい
プロデュースしたドキュメンタリー映画での感受性
そんな斎藤工が、齋藤工名義でプロデュースしているドキュメンタリー映画「大きな家」(竹林亮監督)が公開中だ。これは、児童擁護施設の子どもたちの姿を丁寧に撮ったものだ。 映画の公式サイトで斎藤は「約4年前に1日限りのイベントのスタッフとして訪れたとある児童養護施設の子が、帰り際に何とも言えない表情で私達大人を見ていました。『貴方もまた、もう二度と来ない大人なんだね』とでも言わんばかりのその目が忘れられず、時折、個人的に施設にお邪魔していました」と語っていて、それをきっかけに映画が生まれた。 丁寧に時間をかけて何度も足を運んでコミュニケーションをとったうえで撮影を行い、さらに登場している子どもたちのプライバシーにも配慮してほしいという呼びかけも行ったうえで慎重に上映している。 斎藤の「もう二度と来ない」という潔癖なまでの感受性に筆者は興味を覚える。映画や取材の仕事とは常にそういうことの繰り返しである。 それをよく言えば一期一会と捉えたりするものだが、なかには、単なる興味、単なる消費のような関わりも残念ながらあるものだ。それでも出会いのひとつひとつを人生のなかに確かなものとして刻んでいきたいという思いは誰しもきっとあるだろうと思いたい。
俳優・斎藤工の誠実さが人物に与えたものとは?
「海に眠るダイヤモンド」も端島という島を単なる観光地で終わらせない、そこに生きていた人たちの物語であるということを描いているのだと思える理由のひとつは、「もう二度と来ない」ことへの後ろめたさをわかっている斎藤工の存在があるからではないだろうか。 俳優・斎藤工の誠実さが戦中戦後、そこに生きた人物の面影に血肉を与えたのである。 <文/木俣冬> 【木俣冬】 フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など。Twitter:@kamitonami
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