物価高でチケ代高騰 二極化する「推し活」事情 これでも日本はまだ安い? #くらしと経済
「推したい気持ちに財布が追いついていかない」コロナ禍と物価上昇の影
チケット代の値上がりや物価の上昇で、「推したい気持ちに財布が追いついていかない」という人もいる。 神奈川県在住のShinさん(40)は、中学生のころからアイドルグループV6(2021年に解散)のファンとして、今でいう「推し活」をしていた。現在は、メンバーが手がける完全予約制のコンセプトカフェ(東京都渋谷区)に週に1度のペースで通い、飲食やグッズ購入をしている。一回に使う金額は平均2500円。 以前は、ライブに通うのはもちろん、CDや関連グッズが発売されると、同じ商品を「保存用・使う用・予備」と3つ購入。今でも倉庫を借りて保管している。 「近年で一番お金を使ったのは、2021年のV6解散の年ですね。グループ活動最後となる全国ツアーはもちろん行きましたし、ツアーグッズも買いました。翌年の春に解散ライブを収録したブルーレイディスクが発売されたんですが、特典違いで3種類あったのも全種類買いました。それを観るためにテレビもブルーレイデッキも買い替えました。1年間で使った金額は120万円くらいだと思います」 V6解散後、同じ事務所のほかのグループを推そうと思い、2グループのライブに行ってみたが、V6に注いでいたほどの情熱には至らなかった。 Shinさんは夫と二人暮らし。フリーランスでライター業や翻訳業を請け負いながら、アルバイトもしている。コロナ禍で仕事を失う経験もした。そのときは、以前アルバイトをしていたコンビニで、帰国した外国人スタッフの代わりに勤務して生活費を得た。 この1、2年は、物価の上昇をひしひしと感じている。 「バナナが1袋98円だったのが148円とか。お米は5キロ入りで600円ぐらい値上がりしました。常に『誰かを推したい』という気持ちはありますが、財布が追いついていかない。夫は『好きなことにはお金を使っていいよ』と言ってくれているし、子どももいないので、自由に使えるお金はあると言えばある。でも、自分の将来や老後のことを考えると、もしものために備えておかなくてはという気持ちが強いです」