物価高でチケ代高騰 二極化する「推し活」事情 これでも日本はまだ安い? #くらしと経済
多様な「推し活」ライブやイベントへ積極的に支出するのはおよそ3割
「推し活」に使う金額として、田中さんの「ひと月20万円」は相当多いほうだ。 楽天インサイトが2023年10月に実施した「推し活に関する調査」によれば、1年間で「推し活」に使っている金額は、「5,000円未満」が最も多く、22.3%。次いで「5,000~10,000円未満」「10,000~20,000円未満」で、それらを合わせて全体のおよそ半数を占める。 そもそも、「推し活」をしている人はどれくらいいるのか。 博報堂が2024年2月に発表した調査(HAKUHODO & SIGNING「OSHINOMICS Report」2024.02)によると、各性別年代が均等になるように選んだ5万人のうち、「推しがいる」「推しがいると思う」と答えたのは34.6%。およそ3人に1人だ。 ひと口に「推し活」といっても、中身は多様だ。同調査によれば、実際に行っている行動で最も多いのは、「公式のグッズや商品を購入する」。次いで「公式のSNSアカウントをフォローする」「公式のYouTubeアカウントをフォローする」「出演しているテレビ番組やラジオを視聴する」となる。「推しはいるけど、お金は使わない」という層も一定数いる。 一方、「公式ファンクラブに入る」「近場で実施されるライブ・フェス・リアルイベントに参加する」と答えた人は、「推し活」にお金を使う人のおよそ30%。「投げ銭する(注:ライブ配信などで金銭を送る)」「『推し』にプレゼントを贈る」と答えた人は、それぞれ7%前後。 最近は、生活が破綻するほどの出費をするなどの「推し活」の危険性が指摘されるが、ひと月の支出額は上述のとおり5000円から1万円がボリュームゾーン。「推し」の対象が舞台やコンサート、ドラマや映画、アニメなどなんらかのコンテンツとしてパッケージされていれば、そこまで箍(たが)の外れた消費にはなりにくい。「推し活」に興味のない人には、同じ作品を何回も観るのは奇異に映るかもしれないが、ファンのあいだには「推しは推せる範囲で推せ」という言葉もある。