Google と米司法省との戦い、反トラスト法違反訴訟での法廷戦術とは?
記事のポイント Googleは15年間にわたり競合を買収し、広告オークション操作など反競争的行為でデジタル広告市場を独占してきたとされる。 Googleは市場の定義が不適切であり、競合他社の存在や自社の技術革新がむしろ市場の成長を促したと主張している。 広告市場は競争的であり、司法省の主張は誤りだとGoogleは反論し、証人の信用を揺るがす戦術を展開している。 Googleのディスプレイ広告事業をめぐる反トラスト法違反訴訟で、米司法省が口頭弁論を終えた。同省はGoogleが一連の反競争的行為を通じて、主要なデジタル広告技術を独占したと主張している。 司法省の主張は、Googleが過去15年にわたり、計画的に競合他社を買収する一方、広告オークションを操作し、アドテクエコシステムの各所で自社の優位性を活用しつつ、競争を阻害してきたというものだ。 司法省によると、このような反競争的行為を通じて、Googleはデジタル広告市場での優位性を保持しつづけ、広告コストをつり上げ、パブリッシャーの収益を減少させ、イノベーションと競争を圧迫し、ひいては消費者とより広範なデジタルエコシステムに多大な損害を与えてきたという。 しかし、9月23日を皮切りに、Googleが議論の主導権を握り、司法省の各主張に対して反撃を開始する。その先鋒を務めるのがGoogleの社外弁護士を務めるポール・ワイス・リフキンド・ワートン・ギャリソン法律事務所のカレン・ダン氏とジーニー・リー氏だ。
Googleいわく、司法省の「市場の定義」は的外れ
Googleは、同社のアドテク事業に関する司法省の訴えが、インターネットの黎明期以来、デジタル広告業界が重ねてきた発展の経緯を完全に見誤った認識に基づくものだと主張している。 Googleの弁護団はおそらく、米国政府の市場の定義について、「恣意的な線引きのたまものであり、この訴訟のためにでっち上げたものだ。ディスプレイ広告にひたすら焦点を絞り、もはや存在しない世界を前提にしている」などと主張するものと思われる。 たとえば、広告主はAmazonやメタ(いずれもアドサーバー事業に参入経験がある)、あるいはザンダー(Xandr:旧称アップネクサス[AppNexus]、Googleの旧敵)を買収したマイクロソフトなど、Google以外のビッグテック勢のサービスを自由に利用できる。