ゆとり先生の教育提言(6) 売り上げ減のご当地品を全国に! “高校生お中元プロジェクト”
コロナ禍に人々の行動自粛が各地のみやげ物の売り上げを直撃しました。そんな中、全国の高校生らが地元の名産品やみやげ物を送り合い、相互理解を深める活動を始めました。その名も「全国高校生お中元プロジェクト」。取り組みの中核を担ったのは岡山県の高校生たちです。彼ら彼女らの活動を時に見守り、時に支えた元高校教諭で教育者の野村泰介さん(43)に報告いただきます。 ***
今年の夏、仕事・プライベート問わず、居住している岡山県の外に出ることがありませんでした。このようなこと、物心ついて初めて。言うまでもなくコロナ禍の影響です。 例年ですと、出張などで岡山県外に赴くとき、先方への手土産に何らかのおみやげを持参します。私の場合、大抵は行きがけの鉄道のターミナル駅や空港のおみやげ屋さんで購入します。これまでは、私同様、各地を行き来する人で賑わうおみやげ屋さんは活気あるものでした。しかし今年はどうでしょう。移動する人の絶対数が少ない中でおみやげ屋さんを訪れる人もまばらです。 おみやげ屋さんの客が少ないと当然おみやげの売り上げも低くなります。おみやげ屋さんの売り上げ減はそのまま、おみやげを作っている製造者の経営も圧迫します。特に賞味期限がシビアな食品系のお土産は売れなければそのままロスになるため、需要減は深刻です。
「おみやげ業者の力になれないかな?」
さて、私が伴走している、学校の枠を越えた高校生の自主活動団体「#おかやまJKnote」(以下JKnoteと記します)には岡山県内15の高校から23名の生徒が参加しています。JR岡山駅から徒歩8分の商店街内に「シェア部室」という活動の拠点を持っており、毎週1回夕方にミーティングをしています。 ミーティングの中でメンバーの高校生は自分の「やりたい」を提案し、地域の人たちの協力を得ながら次々と実現させてきました。特に、昨年度より、地域の観光の魅力を動画などで発信する活動をはじめ、岡山の名産・特産などの紹介に力を入れています。 しかし、コロナ禍で世の中が自粛ムードになった4月以降、JKnoteには「おみやげを目的にした地元名産品が売れない」という声が集まります。早速、高校生たちは「地元おみやげ業者のために何かできることはないだろうか?」と考え始めました。