ゆとり先生の教育提言(3) 「18歳成人」高校生はどう考える?
2020年4月から成人年齢が18歳になります。「選挙権を与えるべき」「成人式はどうするか」……。大人目線の議論はありますが、18歳予備軍である高校生たちはどう考えているのでしょうか? 偏差値を上げる教育とは一線を画す「真のゆとり教育」を模索し、生徒の自主性を重んじた活動を支援する元高校教員の野村泰介さん(42)に考察してもらいました。 *****
「プレ成人期」は何処へ?
2020年3月17日、岡山市内中心部のライブハウスで、卒業したての高校生3年生5人が「18サミット」というイベントを主催しました。コロナの影響のため、現場は無観客。インターネットを使ったライブ中継でしたが、高校生バンドやダンスパフォーマンスなどで1600人超の視聴者で盛り上がりました。「18サミット」のサブタイトルには「18歳成人時代を考える」とあります。このイベントの目的は一体何だったのでしょうか。
民法が改正され、2022年4月より成人年齢が18歳に引き下げられます。携帯電話の契約、クレジットカードの作成などを保護者の同意なしで可能になります。18歳になると法的に大人と同様の責任が求められることが増えていくのです(ただし飲酒・喫煙・公営ギャンブル・国民年金の支払いなどは20歳のまま)。このことは、高校生に伴走している身としては大変革と捉えています。 従来、20歳成人の下では、高校卒業後2年間かけて成人への準備をする期間がありました。私はこの期間のことを「プレ成人期」と呼んでいます。「プレ成人期」では大学・専門学校・職場などで、高校時代より多様で自由な道を主体的に選択できる機会が格段に多くなります。一人暮らしをする人が出てきたり、アルバイトなどで深夜労働が認められたり、また、親や先生以外の大人と関わる経験も増え、「大人とは何か」をじっくり考えることができます。 しかし、18歳成人となると、高校3年生の時点で成人となります。そうなると、成人になるための準備期はいつになるのか。そう、高校生活そのものが「プレ成人期」になってしまいます。今まで以上に主体的に行動するためのトレーニングが必要になります。