ツバメが「お椀」のマイホームで子育て中 岐阜・民家の軒先で
岐阜県羽島市の民家で、駐車場の軒先に設けた「お椀」を巣にして子育てをするツバメが話題となっている。巣を壊してしまったツバメのために民家の家主が用意したものだが、すっかり住みこなして既に3羽のヒナが巣立った。今も卵を温めながら“一寸法師”のように顔を覗かせる愛らしい姿が、地域の癒やしにもなっている。
一度落ちた泥の巣、家主の機転で“建て替え”
巣があるのは同市の報道写真家、川柳まさ裕さん(60)が自宅の離れとして使っている建物1階の駐車場。二十数年間、毎年この時期になるとツバメが巣を作りにやって来て、今年も4月中旬から2羽のつがいが泥で巣を作り始めた。ところが、形ができたとたんに巣が崩れ、下の地面に落ちてしまった。 川柳さんは「壊れてもすぐ直すだろう」と思っていたが、1週間経ってもツバメが再び巣を作る気配はない。そのころ、ちょうど川柳さんが処分しようとしていたお椀があり、「巣の変わりになるかも」と思い付いた。 直径12センチほどのお椀を電動のこぎりで2つに切り、一方を木の板にくぎで打ち付け、駐車場の壁に取り付けた。 すると、ツバメはさっそくお椀で巣作りをするようになった。5月になって川柳さんが巣を覗き込むと丸い卵が1個。それから2、3日おきに1個、また1個と卵を産み、順調に子育てが始まった。
2回に分けての子育て、地域の人も興味津々
5月中旬に3羽のヒナが孵化し、親ツバメがえさをやる姿も見られるようになった。さらに、6月に入って3羽が巣立った後、親ツバメは再び同じお椀の中に卵を3個産み、現在は2回目の子育て中だという。 近所の人たちも興味津々で、通るたびに「今日はいる?」「どうしてる?」と声を掛けてくる人も。地方紙やテレビ局も取材に来た。 川柳さんは「無事、巣にしてくれて嬉しい。ただ、子育てを2回に分けたのは、お椀が少し小さかったからかも。来年は大きいお椀にした方がいいかもしれないけれど、小さくてもツバメなりに工夫するので、余計なことはしなくてもいいかな」などと楽しみながら見守っていた。 (関口威人/nameken)