ドジャース対ヤンキースの頂上決戦はなぜ43年ぶりなのか 東西名門対決に懐かしい記憶も
「プレーオフ、ワールドシリーズは全く違う」
今年プレーオフ出場を決めた直後、ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は「ここからの戦いは全く違う」と熱く呼び掛けた。プレーオフは負ければ終わりの短期決戦。戦いの重要度は増す。ただ、「全く違う」というのは、試合そのものの重要性だけではない。 大リーグには30もの球団がある。しかも、各チームは地域密着。テレビはそれぞれの地元チームの試合を放送するのが基本であり、ネットワークテレビによる全国放送は決して日常的ではない。しかも、本土だけで3時間の時差がある。東地域の居住者の多くは、西の地域のナイターの経過・結果を知ることなく眠りについてしまうのが実態だ。相当に熱心な人たちを除くと、各地のファンが自分の居住地以外のチームの試合をじっくり観る機会は決して多くはない。 しかし、プレーオフは違う。1日数試合限定。ワールドシリーズは1試合だけだ。ファンの視線はそこに集中する。その大事な舞台で勝敗を分ける重要なプレーを演じれば、それが選手のイメージを強め、時には伝説となってずっと語り継がれる。「全国区」の選手になるためには、一層の腕の見せどころなのだ。 米プロスポーツの「共存共栄」の精神は、多くのチームに浮上のチャンスを与える一方、大きな市場を抱え、ファンの絶対数の多い球団が必ずしも有利ではないという側面も生んでいる。大リーグでもプレーオフ、ワールドシリーズの視聴率、視聴者数を考えると不利な要素で、実際に視聴率、視聴者数は長期低落傾向が続いている。しかし、東西の人気球団が激突する今年は、大きな反転が期待される。「どちらが優勝するにせよ、大リーグ機構やその経営陣が勝利を収めることは既に決まっている」と報じられているゆえんだ。大谷が、ジャッジとともに紛れもなくその戦いの中心にいる。なんとも胸躍る決戦である。 （時事通信社 橋本誠）
