「史上最悪のシーズンだったよ」大谷翔平が消えた“エンゼルスの今”…球団ワースト99敗、番記者に聞いた「ファンはオオタニにモヤモヤ」「スタジアムはガラガラ」
大谷翔平が移籍した後、今季のエンゼルスは99敗を喫した。球団ワースト記録での最下位だ。そんな厳しい状況を番記者、そしてエンゼルスファンはどう見たのか。NumberWebの記者が現地アナハイムを訪ね、取材した「エンゼルスの今」。【全3回の前編/中編、後編も公開中】 【現地写真】「なぜか泣けてくる…“大谷ユニ”いまも売るエンゼルスショップ」「ガラガラのスタジアム」元同僚との“愛され写真”も合わせて見る ◆◆◆ あまりに対照的だ。青と赤、常勝と弱小、ポストシーズンで戦うチームとシーズンが終わったチーム、大観衆が沸く球場と閑古鳥が鳴く球場。同じロサンゼルスをチーム名にもつ2つの球団の現状は、残酷なまでに明暗が分かれている。 63勝99敗――。 2024年シーズン、ア・リーグ西地区で最下位に沈んだエンゼルスの成績である。これで9年連続のシーズン負け越しとなり、勝率はじつに.389。99敗は球団ワースト記録であった。 かたや、背番号の「17」はそのままドジャースへ旅立った大谷翔平は、皮肉なまでに飛躍を遂げた。メジャー史上初となる50-50を達成し、本塁打王と打点王に輝く。ムーキー・ベッツやフレディ・フリーマンというMVP受賞者ら、スター選手がそろうチームにあっても異質な存在感を放っていた。メッツとのリーグ優勝決定シリーズでもそうだ。ドジャースタジアムで注がれる歓声がチームで随一なら、ファンが着るユニフォームで最も目にするのも「OHTANI」。移籍してわずか1年。今や誰の目にも疑いようのない「ドジャースのオオタニ」になった。 そこで思う。ポストシーズンで勝ち抜けるドジャースを、昨年と変わらずに活躍する大谷を、エンゼルスファンはどんな心境で見つめているのか。なぜ大谷が去ったエンゼルスは99敗を喫したのだろうか。
「史上最悪のシーズンだった」「アナハイムはガラガラ」
ドジャースとメッツ第2戦の試合前、ドジャースタジアムのメディア席で隣に座った米誌『スポーツ・イラストレイテッド』記者、ニック・セルベ氏(32歳)にインタビューすることができた。アナハイムにほど近い南カリフォルニアの都市、サイプレスで生まれ育ったニック記者は、地元球団の今シーズンを「史上最悪のシーズンだった」と振り返る。 「ファンは非常にイライラしていると思う。オオタニが在籍した最後の2シーズンもひどかったけど、今年は99敗だからね。来るところまで来たと言うべきか、チーム状態はどん底だ。何より悲惨なのは、チームが強くなる未来が見えないことだよ」 まず、マイク・トラウトとアンソニー・レンドンという高額契約2人の負傷離脱は大きな痛手だった。だがニック記者は、99敗を招いた致命的原因はオーナーのアート・モレノにあると喝破する。 「ファンはオーナーの判断に不満を抱いている。昨シーズン終了後にオオタニがFAになることは元から決まっていた。加えて、優勝争いをしたい彼が、長年低迷しているチームに残留する可能性が低いのもわかりきっている。問題はそこからだ。シーズン中のトレードで優れた選手を複数人獲得することも、あるいは捨て身でオオタニを残留させることも、どちらもやらなかった。(トラウトとレンドンという)巨額契約の選手がいても、金融面で案を練って準備をするのがオーナーの仕事。言い訳にはならない。そこで何もしなかった結果が、今季の成績に表れた。おかげでアナハイムはガラガラ。5万6000人の席が埋まるドジャースタジアムと違って、食事やビールを買うのにも、トイレに行くのにも並ばないから、エンゼルスタジアムは“素晴らしい”球場と言うこともできるけどね」
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