4回連続0.75%利上げ 「ハト派」「タカ派」入り交じるFRB見解 すぐの利下げはない?
FRB(米連邦準備制度理事会)が政策金利を0.75%引き上げることを決めました。0.75%の利上げは4会合連続です。第一生命経済研究所・藤代宏一主任エコノミストが、利上げをめぐる今後の展開を読み解きます 【グラフ】コロナ禍に円安…でも意外に悪くない? 日本経済と日本株
景気を過度に減速させるリスクに注意払う?
11月2日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)では、大方の予想通り4会合連続となる0.75%の利上げが決定され、政策金利(FF金利の誘導目標上限値)は4.00%とされました。FRBが発したメッセージは声明文こそ「ハト派(金融引き締めの度合いを緩める態度)」でしたが、パウエル議長の記者会見は「タカ派(金融引き締めに積極的な態度)」となり、それを受けた金融市場は金利上昇・株高で反応しました。その流れは翌3日の米国でも継続し、4日の日本株も大幅なマイナスとなりました。 FRBが公表した声明文には「インフレ率を徐々に2%へ戻すのに十分に制限的な金融政策姿勢を達成するため、政策金利の継続的な引き上げが適切になると予想する」との記載があり、今後も利上げが続く方針であることが示されました。もっとも、その直後には「将来的な政策金利の引き上げペースを決めるに当たり、FOMCは金融政策の累積的な引き締め効果、金融政策が経済活動とインフレ率に及ぼす影響のタイムラグ、および経済と金融の動向を考慮する」との記載が加わり、利上げを慎重に判断する姿勢が示されました。 FRBは今年3月以降、段階的に政策金利を引き上げてきたので、これまでの累積的な引き締め効果がどれだけのタイムラグを伴って実体経済に波及しくるか、その動向を注視するという趣旨です。この一文は、市場参加者に「政策金利の引き上げ終了が近いかもしれない」との思惑を生じさせました。またパウエル議長は記者会見で利上げ幅縮小について「早ければ12月FOMCになるかもしれない(it may come as soon as the next meeting or the one after that」と発言しました。FF金利が中立金利(景気に逆風となる金利水準)を大幅に超えたとみられる中、累積的な引き締め効果と政策のタイムラグを考慮すると、景気を過度に減速させてしまうリスクに注意を払う必要があるとの認識です。一見するとハト派な見解でした。