4回連続0.75%利上げ 「ハト派」「タカ派」入り交じるFRB見解 すぐの利下げはない?
利上げ終了後も引き締め姿勢を長く維持する?
しかしながら、その直後には「利上げ幅(ペース)をどうするかは次第に重要でなくなり、今後は政策金利の最終到達点がどの程度になり、またその水準がどれだけ長く続くかが中心的な関心になる」との発言が続きました。これは利上げ終了後も引き締め姿勢を長く維持するとの含意がある発言ですから、端的に言えば「すぐには利下げ」はしないという姿勢です。 FRBは、金融市場参加者の思考が「利上げ幅縮小→利上げ停止→将来的な利下げ観測」といった形で一気に飛躍し、資産価格が上昇することを懸念しているとみられます。年初来、株価は大幅に下落し住宅市場も冷え込んできましたが、資産価格の上昇がインフレ退治の阻害要因になるとのFRBの認識に大きな変化はみられません。この発言が市場参加者に消化されると株価は大幅な下落に転じました。
政策金利の最高到達点は「5.00%」か?
また政策金利の最高到達点(ターミナルレート)については「9月に想定していたよりも高くなる」可能性があるとされました。9月FOMCでFRBが示した予想ターミナルレートの水準は4.75%でしたから、5%近傍への利上げが自ずと想定されます。今後の利上げ経路は12月FOMCに0.5ポイント、2023年2月と3月FOMCに0.25ポイントの利上げが実施され、ターミナルレートは5.00%になると予想されます。 今後FRBの金融引き締めスタンスは「ターミナルレートを長く維持する」ことに重点が置かれるでしょう。たとえ景気後退の脅威が迫ったとしても、FRBがインフレ沈静化に自信を持つまでは資産価格上昇を「良しとしない」姿勢を貫くとみられます。今後、景気後退を示す経済指標が増加するなどして金融市場参加者が利下げを織り込み資産価格が上昇する場合、FRBはその都度、利下げ観測を潰しにくるとみられます。インフレ沈静化なくして資産価格上昇なしと言ったところでしょうか。
---------------------- ※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。