世界のディビッド・ロックフェラーJr.夫妻が来日! 海にまつわる思いを緊急インタビュー
スーザン・ロックフェラーさん(以下、スーザン) 海を愛しているからこそ守っていきたいと思ったのがきっかけです。毎年のようにロングアイランドのビーチで夏を過ごしていたので、潮の香りがする海辺の暮らしが大好きだったんです。 井植 お二人とも海への愛は共通していますが、そもそも二人はどのように出会ったのでしょう? ディビッド 「アラスカ」が私たちを結びつけてくれました。私は80年代初頭にアラスカを初めて訪れて、その自然に感動しました。すっかり魅了され、アラスカの自然保護団体「アラスカ・コンサベーション・ファンデーション(ACF)」に入会して10年間役員を務めました。 そこで、「私の拠点であるニューヨークにアラスカの魅力を伝えたい」とACFの理事会に相談しました。釣りや野生動物の写真に興味を持つ人がたくさんいたので、相性が良いと感じたんです。 結果的にニューヨークで盛大な夕食会を開くことになり、スーザンとはその過程で出会いました。
スーザン 夕食会で流す、アラスカの魅力を伝える動画を二人で制作したんです。ディビッドが書いた文章を元に、私が映像の編集を担当しました。 ディビッド スーザンは映画監督で、既にアラスカに訪れたことがあり、ACFにも興味を持っていたんです。 スーザン 私たちが出会ったのは、自然と芸術を愛していたからこそですね。
井植 共通点があるというのは素晴らしいことですよね。 ディビッド 私たちは、アラスカや海に対する情熱だけじゃなくて、現状に変化を起こしたいという願望もあったんです。 井植 その点で、セイラーズフォーザシーを立ち上げて以来、どのような変化を感じていますか?
ディビッド 活動を始めた25年前と比べると、世間の意識は格段に高まっていると思います。例えば、沖合に石油掘削施設があれば、石油が流出する可能性がある。もし流出すれば、海の生物に悪影響を及ぼすことは確実だということを、人々は認識し始めましたよね。 また、料理の分野でも肉類を減らし、野菜や魚を多く摂る食生活が健康的であることが認知されてきたとも感じています。例えに挙げた双方とも、昔では考えられない思考です。 スーザン テクノロジーの役割も大きいと思います。私たちオシアナは、「グーグル(Google)」と「スカイトゥルース」というソフトウェア会社と協力して、グローバル・フィッシング・ウォッチというものを作りました。ほぼリアルタイムで、活動している船の数を監視できるツールで、漁業の透明性を高められるんです。 最近大きな出来事もありました。「アマゾン(Amazon)」とともに懸命な努力を重ね、今年12月末までに米国内の包装から、プラスチック製の緩衝材が排除されることになりました。 ディビッド 「本を保護するためにビニールは必要ないし、紙で十分では?」と彼らを説得しました。不法に捨てられた緩衝材は、多くの海洋生物を殺す原因となっていたので、私たちの活動においても最大の成功のひとつです。 スーザン 海を守ることは経済推進にもつながると思います。多くの沿岸地域の経済の原動力は観光ですし、海が健康できれいでなければ、人々は海水浴やビーチに行きたくないですよね。