「転売ヤー」への拒否感はなぜ生まれる? アレルギー反応との指摘も #くらしと経済
正月の風物詩、福袋。ホビーやアパレルだけでなく、最近は飲食チェーン店もさまざまな福袋を発売している。予約制もあるが、多くは行列必至だ。行列といえば、今や見ないことはない存在が「転売ヤー」。限定された日本の人気アイテムは、すぐに転売ヤーたちに目をつけられる。極端な買い占めなど、一部の転売ヤーによるマナー違反行為はニュースでも目立つが、彼らの素顔はどんなものなのか。違法とはいえない転売商法には、どこに問題があるのか。また、なぜ日本人はこれほどまでに転売ヤーに拒否反応を持ってしまうのか。転売ヤーたちに振り回される現代日本について、識者たちに話を聞いた。(取材・文:山野井春絵/撮影:殿村誠士/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
陶器市にも転売ヤー
原宿、新宿、秋葉原、東京ディズニーリゾート……。連日東京都内を中心に、日本各地で「転売ヤー」たちが活発に動き回っている。これまで転売されるアイテムといえば、ゲームやスマホ、スニーカー、ウイスキーなど比較的高額なものが主流とされていたが、今はキャラクターグッズから文房具、工芸品、年始早々の福袋まで、ありとあらゆる「限定品」が対象となっているようだ。 2024年11月、栃木県益子町の陶器市へ、お目当ての作家作品を買いに出かけた横浜市の主婦Iさんは、目の前で中国人女性の一団に器を買い占められて愕然としたと話す。
「長く通っていますが、ここ数年、ちょっと様子が変わってきたなと感じています。でもまさか目の前でごっそり奪われるなんて。こんな趣味系のものにまで転売ヤーが手を出してくることにびっくりして、腹が立ちました」 出店していた陶芸作家のNさんは言う。 「一度に大量に買っていく転売ヤーを防ぐために、(購入の)個数制限をする作家も増えています。耐熱陶器用の粘土そのものが中国の人に買い占められるという現状もあって、いろいろ悩ましい。一般の陶芸ファンの方からすれば、買いづらくなっていると思いますし、私たち作家も、目の前で愛情なく買われる作品たちを見て、悲しい気持ちになります。とはいえ、『あなたには売りません』とも言えませんし」 転売ヤーの実情に詳しいフリーライターの奥窪優木さんは、最近の「転売商材」についてこう話す。