賞金ランクは自己最高3位 松山英樹は最終戦カムバックに自信の一年
昨年、突然の棄権や欠場の原因になった首や腰の痛みが少しずつ改善されたこともあり、力強さも戻ってきた。ツアーがシリーズ最終戦までに集計したデータで、試合中のクラブヘッドスピードは115.8mph(全体87位)。昨年の114.4mph(111位)からアップし、「マスターズ」を制した2020―21年シーズンの115.7mph(77位)を超えている。 毎年台頭する若手に、飛距離で劣るケースが確かに増えてきた半面、巧みなウェッジワークによる危険回避の力はツアー随一と言える。スコアに対するグリーン周りのプレーの貢献度を示すストローク・ゲインド・アラウンド・ザ・グリーン部門で、ここまで全体1位(+0.618)を記録。パーオン失敗ホールをパー以下で上がるスクランブリング率では2位(67.93%)にランクされた。
ウィークポイントに挙がるグリーン上のプレー、ストローク・ゲインド・パッティングは「-0.082」で110位と低迷から抜け出せずにいるが、本人の手応えは小さくない。「数字に表れていない部分で良いところも出てきた。セントジュード(選手権)や、今週も良いパットも入っていた。徐々に変わってきていると思う」。今季優勝したジェネシス招待も、2週前の「フェデックスセントジュード選手権」も、むしろパッティングがさえわたったゲームだった。
年間獲得賞金は自己最高の1123万7611ドル(16億4069万円)で3位、最終戦の結果によるフェデックスカップボーナスで160万8333ドル(約2億3481万円)も獲得した。ビッグマネー以上に、つかんだものもある。「1つの目標が達成できたというか。『ことし勝つ』と決めて、本当に勝てたことがうれしかった。(年間王者になる)チャンスがある位置でツアチャン(ツアー選手権)に戻ってこられたのは、すごく大きいことだったと思う」 思えば、2月「ファーマーズインシュランスオープン」では米国で初めてホールインワンを達成。プレーオフシリーズで初めて勝ち、通算10勝目を飾った。そして、一時帰国する手荷物の中には「パリ五輪」の銅メダルもある。ツアー11年目、32歳にしてまだ新しい景色を見ることができた。(ジョージア州アトランタ/桂川洋一)