迷走するローマに最適な人物。「私はそのために呼ばれた」“修理工”クラウディオ・ラニエリに託された最重要タスク【コラム】
それはつい2ヶ月前のことだ。レジェンドであるダニエレ・デ・ロッシが解任されたことで、ローマは混乱状態に陥った。そして、後任のイヴァン・ユリッチもわずか8試合の指揮を経て解任。ローマに一体何が起こっているのだろうか。今季3人目の指揮官となるクラウディオ・ラニエリはクラブを立て直すことができるのだろうか。(文:佐藤徳和)
二転三転したローマの監督人事
ローマの新監督にクラウディオ・ラニエリが就任した。ローマ人であり、ロマニスタで、そして、ロマニター(ローマ精神)を備える名将の3度目のローマ帰還だ。 当初は、元イタリア代表監督で、前サウジアラビア代表監督のロベルト・マンチーニ、現トルコ代表監督のヴィンチェンツォ・モンテッラの指揮官就任の噂が高まっていたが、現地時間12日、ラニエリがクラブのフリードキン・オーナーとの会談のため、ロンドンへ出発。同13日、監督就任で合意に達し、帰国の途に就いた。 ラニエリは記者からの質問に対し、「難解な仕事? 私はそのために呼ばれたのだよ」と答えた。ローマのフィウミチーノ空港には、約200人ものサポーターが、ラニエリを熱烈に歓迎。その中には、世界ランキング32位の男子テニスプレーヤーで熱狂的なロマニスタでもあるのフラヴィオ・コボッリの姿もあった。 「今のローマにうってつけの人物」とローマ育ちの22歳。二転三転したローマの監督人事であったが、まさにこれ以上ない人選で決着した。ラニエリが、苦境に陥るチームをどのように立て直すのか。“アッジュスタトーレ(修理工)”の手腕に対して多くの期待が寄せられている。
解任がアナウンスされたときイヴァン・ユリッチは…
ローマは10日、本拠地でボローニャに2-3と敗戦。60年ぶりに同クラブに対して3連敗を喫し、試合が終了してからわずか30分後の17時27分、イヴァン・ユリッチ監督の解任が正式発表された。 ユリッチには、監督就任の際にも記者会見の場が与えられなかったが、解任時にも会見の機会は与えられず、解任がアナウンスされた時には、すでにオリンピコを後にしていたという。 ローマでは9月18日からの指揮で、リーグ戦において3勝1分4敗。第12節を終えて12位に沈み、就任時の14位だったチームを立て直すことはできず。今季限りの契約を待たずに解任の憂き目となった。 アタランタ指揮官のジャン・ピエロ・ガスペリーニは、ユリッチの解任前に、「彼はゆであがったジャガイモを手渡されたように、難題を引き受けたが、彼を救えるのは結果だけだ。出だしは良かったが、今は苦戦している。 優れた監督で、仕事をする力もある。サポートを受けられれば、成果を上げられるだろう。しかし、ローマでの状況は非常に厳しく、かなり孤立している。彼はすべての責任を背負っている」と弟子の状況を危惧していたが、解任は大方の予想通り、現実のものとなってしまった。 フリードキン・オーナーは、CAAベースに監督候補のリサーチを依頼。ロンドンに本拠地を置き、全世界にネットワークを持つ、サッカー専門のエージェントだ。