迷走するローマに最適な人物。「私はそのために呼ばれた」“修理工”クラウディオ・ラニエリに託された最重要タスク【コラム】
情報が錯綜するなかダニエレ・デ・ロッシが放った言葉
ドルトムントの前指揮官エディン・テルジッチや、チェルシーのレジェンドであるフランク・ランパードという外国人監督就任の可能性まで浮上した。さらに、ユヴェントスの前監督、マッシミリアーノ・アッレグリやマンチーニ、モンテッラの名前まで上がり、情報は錯綜。毎日のように最有力とみられる後任候補の名前が入れ替わる混乱ぶりだった。 また、ダニエレ・デ・ロッシが解任後、初の公の場となったイタリア・サッカー界殿堂入りの11月11日の表彰式で、沈黙を破った。 「自分は、トリゴーリア(ローマのトレーニングセンター)に戻ることは絶対にないとは一度も言っていない。選手として、監督としても経験した出来事があり、トリゴーリアは自分の家のような場所だ。 同じことをフリードキン会長も常に言っていたし、私の父も今もそこで働いている。私がコヴェルチャーノ(イタリア代表のトレーニングセンター)に戻るように、トリゴーリアにもいずれ戻るつもりだ」と言明。解任直後に発したとされる“トリゴーリア決別宣言”を完全否定した。 このため、9月18日に監督の座を解任されたデ・ロッシ復帰の待望論が再熱。しかし、メディアに、3年契約を締結中のデ・ロッシの名前が後任候補に挙がることは最後までなかった。
過去にも同じようなことがあった。ローマの迷走
迷走するローマは今季、3人目の指揮官就任だ。2024年という括りで見ると、ジョゼ・モウリーニョも解任されているため、ラニエリで4人目の監督である。これほどの混乱に陥ったのは、5人の監督が指揮した04/05シーズン以来だ。 2004年といえば、ローマが来日し、FC東京とプレシーズンマッチを戦った年である。この1年は、ユーヴェに引き抜かれたファビオ・カペッロの後継となったチェーザレ・プランデッリが、妻の重病のためシーズン直前に電撃辞任。ここから負のスパイラルに陥った。 ローマOBのルディ・フェラーが引き継ぐが、わずか4試合で解任。暫定監督として、エツィオ・セッラがレアル・マドリードとのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)第2戦で指揮を執り、その後は、ルイージ・デル・ネーリが第5節からチームの指導を受け継ぐ。 一時は5位まで順位を押し上げるが、終盤戦で失速。第26節のパレルモ戦から3連敗を喫し、指揮官の座を解かれた。第29節からはブルーノ・コンティが、暫定監督としてシーズンの最後まで指導にあたったが、1勝4分5敗の8位と散々な成績で終えている。 当時の会長だったフランコ・センシの娘、ロゼッラが今月12日、会長としての心構えを語っていた。