膝痛、手指の痛み・しびれ・こわばり、目の不調、難聴、頻尿・尿もれ…。アフター更年期の不調と症状別対処法。60代以降の適正体重とは?
高齢者や女性の健康をサポートする外来で日々診療を行う宮尾益理子先生は、「更年期以降は、それまで守ってくれていた女性ホルモンがなくなるので、意識して自分の体を管理してほしい」と話します。どんな不調が表れ、どう対処すべきかを聞きました(構成=山田真理 イラスト=こやまもえ) 60代以降の適正体重は? * * * * * * * ◆《不調8》膝痛 【概要】 関節を支える筋肉が弱くなると、関節のトラブルが起きやすくなります。 関節液の減少や、長年の使用、体重の影響で軟骨がすり減ることなどがおもな原因です。 【対策】 痛みが強い時は運動などを控え安静に。貼り薬や塗り薬、消炎鎮痛剤で痛みを抑え、入浴などで体を温めるのもおすすめです。 膝や腰への負担を減らすため、体重コントロールやプールでの運動も有効。 痛みが続く場合は、早めに整形外科で画像検査を受け、薬物療法や理学療法などの治療を受けましょう。手術が必要な場合もあります。 ◆《不調9》手指の痛み・しびれ・こわばり 【概要】 アフター更年期には、手指の関節症も増えてきます。 関節の軟骨の摩耗、隙間が狭くなる、骨の変形などが原因で、指を動かす、握るなどの日常生活に支障が出ることも。 使いすぎ、加齢、女性ホルモンの減少が関係すると考えられています。 【対策】 整形外科を受診して相談を。血液検査や画像検査を受け、患部の固定、痛み止めの薬や注射、理学療法などの治療を受けましょう。 起床時に特につらい、両手など複数関節に症状がある、といった場合は関節リウマチの可能性もありますが発症頻度は高くありません。 痛みの確認のために繰り返し刺激するのはやめること。ばね指などで手術が必要な場合もあります。
◆《不調10》目の不調(緑内障・白内障・ドライアイ) 【概要】 日常生活に必要な情報の約8割は、目から得ているといわれます。 視力の低下や視野の欠損などは、日常生活での不自由に加え、転倒や事故など、深刻な事態につながるリスクも高めます。 【対策】 白内障、緑内障、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症で失明しないためには、早期発見・早期治療が大切です。 病変が中心(黄斑部)にかからなければ症状が出にくく、また、悪くないほうの目が補って気づきにくいため、検診が必要です。見えづらさや痛みなど不調がある時は眼科を受診しましょう。 目が乾いてゴロゴロするドライアイには、蒸しタオルなどで目の周りを温めるのが有効です。 現代人は、スマホやPC、TVの見すぎなどで目を酷使しています。なるべく目を休ませましょう。 ◆《不調11》難聴 【概要】 加齢とともに内耳の有毛細胞(音を電気信号に変えて脳に伝える細胞)の損傷が進むと、加齢性難聴が起こります。 耳からの情報量が減ると脳の活動が低下するだけでなく、会話がおっくうになるなど社会的コミュニケーションが減り、認知症のリスクを高めることも。 【対策】 有毛細胞は一度ダメージを受けると再生しないため、イヤホンやヘッドホンで大きな音を長時間聴くことは避けてください。 聞こえが悪いと感じたら耳鼻咽喉科を受診し、補聴器も積極的に使いましょう。 補聴器はこまめな調整が必要なので、補聴器に詳しい医師を見つけることも重要です。
【関連記事】
- 女性ホルモンが減ってきたら「ややぽっちゃり」を目指しましょう。痩せ気味女性は、体重をちょっと増やすだけで「疲れやすい」「冷え」の解消にも
- 頭痛、疲労・倦怠感、めまい、冷え、むくみ、便秘・下痢…。女性ホルモン減少に伴う、アフター更年期の不調と症状別対処法
- 【婦人科医に聞くアフター更年期】多い悩みはGSM。オススメは骨盤底筋を鍛える運動。メンタル不調には、社会と接点を持つこと、体を動かすこと
- 【アフター更年期】若い頃の自分に言いたい「自分を大切にしてほしい」「料理を作りすぎないで。美食はやめて」「子育てが終われば夫も他人」
- 「アフター更年期」に待っていた体の不調からトラブルが!誰に相談したらいい?不安感、尿漏れ、聞こえの悪さ…読者の「リアルな声」を大調査