膝痛、手指の痛み・しびれ・こわばり、目の不調、難聴、頻尿・尿もれ…。アフター更年期の不調と症状別対処法。60代以降の適正体重とは?
◆《不調12》頻尿・尿もれ 【概要】 女性は男性より尿道が短く、もともと、膀胱炎などのトラブルを抱えがち。 年齢を重ねると骨盤内臓器を支える骨盤底の筋力低下によって、頻尿や尿もれが起きやすくなります。 不安感から外出が憂鬱になる場合もあるでしょう。 【対策】 肛門と膣周辺の筋肉を締めたり緩めたりする「骨盤底筋体操」を、3ヵ月を目安に続けましょう。 また、飲水と排尿の時間と量を記録する「排尿日誌」をつけると泌尿器科受診の時に役立ちます。水分量は尿量に影響し、カフェインやアルコールは利尿作用があるため、少量ずつ飲む、カフェインやアルコールを減らす、早めにトイレに行く、などを心がけて。 治療は薬物療法のほか、人工のテープで尿道を吊り下げて支える手術も。 漢方薬では清心蓮子飲(せいしんれんしいん)や八味地黄丸(はちみじおうがん)などが有効です。 ◆《不調13》デリケートゾーンの乾燥・かゆみ 【概要】 膣内部のうるおいを保っていたおりものは、閉経後、エストロゲンが減るとともに分泌量が減少。 膣内を酸性に保つグリコーゲンも減るため、細菌感染や炎症に弱くなります。 また外陰部やその周辺が下着や尿もれパッドでこすれることも、かゆみやかぶれの原因に。 【対策】 入浴時にはデリケートゾーン専用の洗浄剤を使い、下着やパンティライナー、トイレットペーパーは肌に優しい素材を選びましょう。 乾燥はかゆみの原因になるため、デリケートゾーン専用の保湿剤を使うのも手。 かゆみやかぶれを抑える市販薬もありますが、症状が続く、痛みや発疹、おりものの異常がある場合には、婦人科を受診しましょう。 女性ホルモンの経膣錠による治療や、感染症治療が必要なこともあります。
◆《コラム02》痩せすぎ注意!60代以降の適正体重は? 自分のBMI値を計算してみましょう 体重(kg)÷身長(m)の2乗 これまで一般的にBMI18.5~25が適正とされてきましたが、近年の研究で、65歳以上はBMI25をやや超えた「ぽっちゃり体形」がもっとも健康で長生きできるとわかってきました。 特に心配なのが、BMI18.5未満の「低体重」。痩せている人が体重を増やすのは難しいのですが、できればBMI20以下にならないように気をつけてください。 「食が細くなってあまり食べられない」という人は、栄養補助食品を使ったり、漢方薬で胃腸の調子を整えるのも有用です。 ◆《コラム 03》アフター更年期に必要な健診・検診 自治体や勤務先が実施する健康診断やがん検診などは必ず受けましょう。 さらにアフター更年期の女性に受けてほしいのが「骨密度検査」。正確な診断のためにも、骨折しやすい部位をX線で測定するDXA(デキサ)法がおすすめです。 自覚症状がないまま進む緑内障の早期発見には、「眼底検査」が役立ちます。 シニアの場合、定期的な「血液検査」が病気の早期発見につながることがあるので、些細な不調でも調べておくといいでしょう。 (構成=山田真理)
宮尾益理子
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