グループのつながりやデータ活用で生み出す成果―総合人材サービスパーソルグループの健康経営
◇社内の有資格者の活躍や経営陣の率先行動により、健康意識が浸透
――パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社(旧パーソルワークスデザイン株式会社)には「ヘルスケア部門」があるとのことですが、この部門を中心に健康経営を推進しているのですか? パーソルビジネスプロセスデザイン: 社長が『健康づくり責任者』となり、人事部が中心となって健康経営に取り組んでいます。ヘルスケア部門は健康保険組合や企業を対象に、特定保健指導や健診予約代行サービスを提供している部門です。サービスで活用している資料や、オリジナルの体操を社内で発信してもらうなど、知見を生かして自社の健康経営にも参画してもらっています。 社内の臨床心理士が講師となってメンタルセルフケア研修を行った際は、ほぼ全ての社員が受講し、その年の高ストレス者の減少につながりました。社内の資格保持者が活躍することで専門的なアプローチができただけではなく、健康経営に取り組んだ経験や成果を、サービスや顧客とのコミュニケーションに生かすことができました。 人事発信で取り組んだ施策として印象的なものは、禁煙施策です。経営陣が率先して禁煙に取り組み、その様子を社内ブログで発信したところ、管理職も自ら取り組むようになり、禁煙にチャレンジする人が増えました。自らグループを組んで、励まし合いながら禁煙に取り組む社員もいました。
◇グループ全体でデータ分析し、各社の施策展開に生かす仕組み
――グループ全体で取り組むメリットは、どんなところにありますか? パーソルビジネスプロセスデザイン: グループ会社の1つである弊社は、限られた人数で自社の健康経営を進める必要があり、効果的な施策を検討するうえで必要なことと分かっていても、データ活用や分析まで手が回らないことが悩みでした。しかし、グループ会社であるパーソルホールディングス株式会社がその部分を補うことで、自社の課題や目標を明確にし施策に生かすことができています。 パーソルホールディングス: 各社の健康経営のKPIの状態を数値で示した「健康増進レポート」の作成や、各KPI同士の関係やKPIの改善・悪化要因の特定といった統計的な分析結果の共有にも力を入れています。 現在でも身体的な疾病を理由にした休業の状態をグループ全体で把握できる仕組みはありますが、今後は未病の状態についてもグループ全体で状態を把握できるようにするため、健康診断結果の管理プラットフォームの導入も進めていく予定です。 パーソルグループでは現在「人的資本経営」を中核に据え、 1.データドリブン(データ分析を行う人材の育成、各種BIプラットフォームの整備) 2.トップコミットメント(経営陣の報酬評価にエンゲージメント指標などを組み込み) 3.各社の人事担当者の巻き込み(グループ全社人事会議でのノウハウ共有) の3つをポイントに置いて取り組んでいますが、特に横のつながりはグループならではの強みです。 たとえば、現在、グループの中核を担う大規模な会社には「健康経営優良法人」以上の認定取得を奨励しており、実際に認定を取得する会社が増えていますが、調査票の記入方法や取り組み事例などのノウハウをグループ間で共有できることが役立っているのではと考えています。