「敵は2分でできるけど、味方をつくるのは3カ月」――林真理子が挑む、組織改革と人生の後半戦
学生には社会に出る前から多くの「異星人」と会ってほしい。そんな思いから、作家人脈を生かした「理事長・学長セレクト講座」を立ち上げ、茂木健一郎や堀江貴文ら、彼女が考える「異星人」たちに登壇してもらった。6月にはサッカー日本代表監督・森保一も来校予定だという。 「文学賞の選考委員を務めたり、女性初の日本文藝家協会理事長になったり、作家として“上がりとされる道”をそれなりに歩んできた自負は、まあ、ありますよ。この前何かで読んで『え、林さんって大御所作家だったんですか?』って驚かれたときは『え、違うんでしょうか?』とちょっとムッとしたのも確かです(笑)。そんな人生の後半戦で、いま、新しいチャレンジができているのは、とても面白くもある」 「素人の私が理事長を務めていられるのは、大学が利益を追求するところではなく、ときに無駄こそが大きな意味を持つ教育の場所だからです。あれ、私、いいこと言うなぁ。そう、ここは崇高な教育の場なんですよ。もちろん予算の無駄な垂れ流しは論外だけど、プロのビジネスコンサルタントがバッサバッサと不採算部門の廃止やリストラを断行しては、絶対にうまくいかないと断言できます」 ある大学職員は「林理事長が来てから、職員たちの空気がガラッと変わった」と嬉しそうに話した。 「なにかとたたかれて人間力を磨いてきた私だからこそ、母校のためにできることがあるはず。そう信じて、職員のみなさんと対話を重ねながら、本当に学生が勉強しやすいいい大学になるよう邁進していきます」 林真理子(はやし・まりこ) 1954年山梨県生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、コピーライターとして活躍。1982年エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』がベストセラーに。『最終便に間に合えば』『京都まで』で直木賞を受賞。『白蓮れんれん』で第8回柴田錬三郎賞受賞など。2022年7月、日本大学理事長に就任。最新刊は『成熟スイッチ』。 ーーー 城リユア ライター・編集者。出版社の情報誌編集部を経て独立し、ライフスタイルやエンタメ、ジェンダーについて取材。Web動画制作も担当。 ヘアメイク=赤松絵利(ESPER)