宇宙から地球見守る 巨大パラボラでデータ受信 鳩山町のJAXA地球観測センター 埼玉「館」巡り
宇宙航空研究開発機構(JAXA)といえばさっそうとしたとした宇宙飛行士を真っ先に思い浮かべるが、埼玉県にもそのJAXAの施設「地球観測センター」がある。 「リモートセンシング技術」を用いて人工衛星からのデータを受信。筑波宇宙センター(茨城県つくば市)へ送信する業務を担い、目立たないが地球を見守る上でなくてはならない施設だ。 そのセンターを訪ねると目に飛び込んできたのは巨大なパラボラアンテナ。直径13メートルや同11・5メートルのものなど計3機がそびえ立つ。案内の新井一成さんが「地球観測衛星『だいち2号』などの観測データを、最適な方角に動きながら受信しているのです」と説明してくれた。 宇宙からのデータは解析・処理することで、研究機関や大学などで環境問題の解明、災害監視、資源調査に役立てられるという。 例えば今年1月に発生した能登半島地震の際は、だいち2号の緊急観測のデータを基に最大5メートルの隆起が起きたことなどを観測。また、地球の海面水温のデータを長期モニターするなどしており、「地球の『今』のデータを集めている」(新井さん)という。 一般向けの見学施設として、地球観測の仕組みなどを体験しながら学べる地球観測展示室がある。 約45億年前からの地球の成り立ちを動画で教えてくれるコーナーに加え、「だいち2号」「同4号」といった人工衛星、H2Aロケットの模型などが並ぶ。 また、データ収集装置の実物は、人工衛星の大きさを体感できるとあって興味深い展示だ。 随時、見学ツアー(約1時間)も行われており、未知の領域が広がる宇宙への関心に応えてくれるに違いない。(柳原一哉) ■JAXA地球観測センター 昭和53年、人工衛星から地球環境を観測するリモートセンシング技術の確立と発展のため設立。3機の巨大パラボラアンテナで人工衛星から受信した地球観測データは、災害監視や環境問題解明などさまざまな分野で利用されている。 ■アクセスガイド 鳩山町大字大橋字沼ノ上1401。関越自動車道鶴ケ島インターチェンジ(IC)から約25分。東武東上線高坂駅からタクシーで約15分。開館時間は午前10時~午後4時半。入館料無料。年末年始などを除き年中無休。