【10年ひと昔の新車】フォルクスワーゲンは次なる戦略として、ポロ ブルーGTに「気筒休止エンジン」を採用した
フォルクスワーゲン ポロ ブルーGT(2012年:車種追加)
「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、フォルクスワーゲン ポロ ブルーGTだ。 【写真はこちら】 ACTの採用により、EU複合サイクルで21.7km/Lという、1.2 TSIより10%ほど優れた低燃費を達成する。(全9枚)
フォルクスワーゲン ポロに新たに加わったモデルが「ブルーGT」だ。気筒休止システムを採用した最初のフォルクスワーゲン車となる。1.4LのTSIエンジンは140psを発揮するが、EU複合サイクルで21.7km/Lもの低燃費を達成する。日本導入前の国際試乗会からレポートしよう。 輸入車としては手頃な価格で国産車からの乗り換えも多いというポロ。ドイツ車らしいガッチリ感に、トルクフルでキレのいい走りは国産同クラスに比べると「モノが違う」ことを実感できるので「いい買い物をしたな」と満足させてくれるだろう。 そんなポロのウリの一つが、パフォーマンスが高いのに燃費もいいということだが、そこに磨きをかけたモデルが登場した。環境対応を意味する〝ブルー〞とスポーティな〝GT〞を合わせて〝ブルーGT〞と名付けられた新グレードは、1.2LターボのTSI(105ps/175Nm)と1.4Lスーパーチャージャー+ターボのGTI(179ps/250Nm)の中間となる140ps/220Nmを発生。だが、燃費は1.2 TSIより欧州モード燃費で10%ほど良くなっている。 その要となっているのが、ACT(アクティブ シリンダー マネージメント)と呼ばれる気筒休止システムだ。V6以上ではしばしば見られる気筒休止だが、直4では珍しい存在だ(過去に三菱などで例がある)。ACTは低負荷時に2番と3番の燃焼を停止することで燃費改善を図る。
気筒の休止と復帰は自然で、ほとんど分からない
4気筒から2気筒になってもトルクを落とさないようにすると必然的にスロットルが開くことになるのでポンピングロスの低減につながるのも大きなポイントだ。高度なバルブシステムよりも低コストで済むという。 今回は平坦な道が広がるオランダのアムステルダム近郊で試乗した。発進や加速は1.2 TSIよりも明らかに力強くスポーティだ。巡航速度に達したところで徐々にアクセルペダルを戻していくと、メーター内に2気筒モードの表示が浮かび上がる。 50~60km/h程度ならそのままでキープが可能。再び加速を求めてアクセルを踏みこむと4気筒に戻るが、いやなショック等は感じない。神経を尖らせて観察すれば、2気筒のときにヒュルヒュルという通常とは異なるエンジン音が感知できるが、まったく気にならない程度だ。 速度を上げて試してみると、100km/hまでは頻繁に2気筒になるが、120km/hではほとんど4気筒。作動条件は、1400~4000rpmで発生トルクが25~100Nmとなっている。 ACTは低コストで燃費改善が図れることに加え、エンジンのパフォーマンスや楽しみを損なうことがまったくないのが美点だ。フォルクスワーゲンとしては、今後はTSIの必須アイテムとして展開していくようだ。
フォルクスワーゲン ポロ ブルーGT ブルーモーション(日本仕様) 主要諸元
●全長×全幅×全高:3995×1685×1460mm ●ホイールベース:2470mm ●車両重量:1170kg ●エンジン:直4 DOHCターボ ●総排気量:1394cc ●最高出力:103kW(140ps)/4500ー6000rpm ●最大トルク:250Nm(25.5㎏m)/1500ー3500rpm ●トランスミッション:7速DCT ●駆動方式:横置きFF ●燃料・タンク容量:プレミアム・45L ●JC08モード燃費:21.3km/L ●タイヤサイズ:215/40R17 ●当時の車両価格(税込):263万円
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