想定内だった森保Jアジア杯初戦の苦戦…隠された狙いと残った問題点
UAEで行われているアジアカップ。日本は9日の初戦でトルクメニスタンに先制を許す大苦戦の末、辛うじて3-2で勝利した。 ロシア・ワールドカップ後に発足した森保ジャパンは昨年、4勝1分けの好成績を収めていた。とはいえ、そのすべてが国内における親善試合。アウェーで戦うのは今大会が初めてだった。ましてや売り出し中の南野拓実、堂安律をはじめ、アジアカップ初参戦の選手が多かったのだ。さもありなん、という内容だった。 なぜ、そこまで苦しめられたのか――。 その答えは、選手やメディアから溢れる「アジアカップの難しさ」という言葉を紐解くことで見えてくる。いや、難しい話ではない。 決勝トーナメント進出が最大の目標であるワールドカップは、初戦にピークを持っていくことが重要になる。初戦にベストパフォーマンスをぶつけなければ、格上揃いのグループステージを突破することなど不可能だからだ。 一方、アジアカップは日本にとって優勝を目指す大会である。ミッションを成し遂げるには、7試合を戦い抜く必要があり、決勝トーナメントに入ってからピークが来るようにしなければならない。ワールドカップでブラジルが、ドイツが、フランスが、スペインが、初戦からエンジン全開というわけではないのと同じことだ。 そのうえ、中東でのゲームは、暑さとの戦いにもなる。トルクメニスタン戦は現地時間の15時キックオフだったが、UAEのアル・アインでプレーする塩谷司が、その厳しさを指摘する。 「今は涼しい時期ですけど、それでも昼間は暑いので、3時の試合はかなりキツい。UAEでもあまりやらないですね。早くても4時45分とかです」 これがワールドカップなら、開幕までの約3週間で暑熱対策を行い、万全の準備で初戦に臨むことだろう。だが、繰り返すが、今大会はワールドカップではなくアジアカップだ。初戦にピークを合わせる必要はない。自身もコンディション不良に苦しんだキャプテンの吉田麻也が言う。 「コンディションに関しては今日がピークというわけではない。監督やテクニカルスタッフも(大会が)長くなるのを想定して練習の量を制限してやってくれている」 こうした状態で、苦しみながらも勝点3を奪い取れたのは、優勝を狙ううえで上々のスタートだと言っていい。