【光浦靖子】芸能界を休むことへの不安は? 50歳で飛び込んだカナダ留学という新しい世界、その奮闘の毎日を綴ったエッセイ本〈インタビュー〉
光浦:実はカナダに行ってから、ほとんど本を読んでないんです。英語の本を頑張って読んだけど、1年に2冊読んだかどうか。というのも、私の英語力で楽しめる本がなかなか見つからない。それで、ダメ元で本屋に行って店員さんに相談したんです。「私はすごく読書が好きだけど、私の英語力だとキッズの本になってしまう。だけど、キッズの本は物足りない。私の能力で読めるサスペンスを読みたい」とリクエストしたら、5冊ぐらいピックしてくれて。本に詳しい優しい店員さんでした。それを一冊、読みましたね。 ――どうでしたか? 光浦:読んだけど、ちょっと好みと違いました。(笑)。バトルシーンが多くて。サスペンスは心理戦の方が好きなので。心理戦は私の英語力では無理なのかも、です。 ――日本の本が買える書店もあるのでしょうか。 光浦:ダウンタウンにおしゃれな雑貨も一緒に置いてある「Indigo」という大型書店があるのですが、英訳された日本の漫画はたくさん売っていますが、日本の小説とかはたまーに見かけるぐらいかな。だから、日本語の本を読みたい人は、図書館に行ったらいいですよ。「Central Library」という円形のコロッセウムみたいな図書館があって、私はしょっちゅうそこに行って勉強しています。 ――そこに日本語の本があるんですね。 光浦:あと、私には西加奈子文庫があるので。 ――西加奈子文庫、とは? 光浦:西さんがカナダにいる時日本語の小説を編集者の人がいっぱい送ってくれたそうなんです。西さんは癌の闘病中、それらの本に助けられたそうです。それで西さんが日本に帰る時に、好きな本持っていっていいよと言うんで、20冊くらいいただきました。編集者がセレクトした本の中からセレクトしてるから、もう全部5つ星みたいな小説ばかり。日本語の本はあまり読まないようにしていたのですが、読み始めたら止まらなくて、中でも宇佐見りんさんの『くるまの娘』は面白かった。久々の日本語だったし、天才だよ!天才だよ!って、西さんやカナダに住む日本人の友達たちにメールしたくらいです。
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