「ノルマが達成できないなら、自腹を切っては?」上司が“自爆営業”をほのめかした!これって違法?
大手車販売店で営業担当として働く相談者の職場に先月赴任してきた新支店長は、過剰なノルマを課し、挙句の果てに「自分は自腹を切って車を売った」と武勇伝を語り、「自爆営業」をほのめかす始末。困った部下は社労士のカタリーナに相談することにした。ノルマが達成できなければ、本当に自腹を切らなければならないのだろうか?相談者に対し、カタリーナのアドバイスは……。 【この記事の画像を見る】 <登場人物> 藤枝(29歳):大手自動車販売店に勤務する営業社員 荒井(48歳):新たに赴任してきた支店長 角野(32歳):藤田の先輩で、同じ職場に勤務する営業社員 ● 凄腕の新支店長が鳴り物入りでやってきた 物腰の柔らかい前支店長に代わって、経営立て直しのために新しい支店長が鳴り物入りで赴任してきた。新支店長の荒井は、行く先々で業績を回復し、凄腕として知られている人物である。ところが、荒井が先月赴任してきてからというもの、営業部員たちは過剰な営業ノルマを突き付けられ、職場の雰囲気がギスギスしている。 ある日、藤枝が出社すると先輩の角野が話しかけてきた。 角野「毎日ノルマ、ノルマって言われて、本当にキツいよな。荒井支店長、若い頃は何度もトップセールスを記録して、伝説の営業マンとして知られていたらしいよ」 藤枝「そうなんですか。だから僕たちにも厳しいんですかね?ノルマの達成状況が毎日のように回覧されてプレッシャーもすごいし、もうメンタルがやられそうです……」 角野「おい、大丈夫か?荒井支店長の下で働いていた人たちが何人もうつ病で休職したり、辞めたりしたって話を聞いてさ、ヤバいと思っていたんだよ」 そんなうわさ話をしているところに、荒井本人がやってきた。
● 今月のノルマにまったく届かないじゃないか。やる気あるの? 荒井「藤枝君、ちょっといいかな?」 藤枝「はい、何でしょうか」 荒井「藤枝君の営業成績、ひどすぎるな。この分だと今月のノルマにまったく届かないじゃないか。いったいどうするつもりなの?やる気あるの?」 藤枝「は、はい、もちろんです」 荒井「私が若い頃は、車を売るための『サービス』として、商品の値引きやガソリン代を始め、部品代金や保険料まで自腹をきって売ったものだよ。お客さんは、そういうサービスに弱いからね」 藤枝「それって……僕にも同じことをやれということですか?」 荒井「昔から『損して得取れ』って言うだろ?お客さんだって喜んでくれるし、営業成績が上がれば評価も上がってボーナスだって増える。ノルマも達成できるし、悪い話じゃないだろう?」 藤枝「……」 荒井は悪びれる様子もなく、むしろ自分のやり方を武勇伝のように語り、部下を鼓舞しているつもりでいるようだった。「自腹だなんて、納得いかない」そう思った藤枝は、社労士のカタリーナに相談することにした。 ● 従業員が自己負担で商品を購入する「自爆営業」 カタリーナ「こんにちは!社労士のカタリーナです。今日はどんなご相談かしら?」 藤枝「聞いてください。僕の営業成績が悪いからって、上司がとんでもないことを言い出して……」 藤枝は、その日の出来事をカタリーナに説明した。 カタリーナ「まぁ、とんでもない上司ね。それって『自爆営業』しろと言っているも同然だわ」 藤枝「自爆営業って、何ですか?」 カタリーナ「自爆営業というのは、使用者が社員に対して不要な商品の購入を強要したり、ノルマを達成できない場合に自腹で契約を結ばせたりすることよ。コンビニで売れ残ったクリスマスケーキを買わされたりする、みたいな話は昔からよく聞くけれど、最近また問題になっているの」