センバツ高校野球 関東一、春つかむ 夢舞台、喜び爆発 8年ぶり /東京
第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)の出場校を決める選考委員会が26日、大阪市の毎日新聞大阪本社で開かれ、都内からは関東一(江戸川区)が選出された。関東一は昨年の秋季都大会で優勝し、センバツ出場は8年ぶり7回目。待ちに待った春切符を手にした選手たちは喜びを分かち合い、大舞台での活躍を誓った。大会は3月8日に組み合わせ抽選を行い、同18日に阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開幕する。「21世紀枠」の2校を含む32校が熱戦を繰り広げる。【小林遥、加藤佑輔】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 関東一の野球部員たちはユニホーム姿で多目的ホールに集まり、駆けつけた保護者らと一緒に選考委員会の結果を知らせる「センバツLIVE!」のインターネット中継を見守った。校名が呼ばれるとガッツポーズやハイタッチを交わし喜び合った。 加藤雅子校長は、「ここに来るまでに多くの人の応援があった。センバツも全校挙げて応援するので、一つでも多く試合ができるよう勝ち進んでもらいたい」と激励した。主将の高橋徹平(2年)は「優勝できるように頑張ります。応援よろしくお願いします」と力強く決意を語った。その後、校内放送で全校生徒にセンバツ出場が告げられた。 昨夏の東東京大会は5回戦で敗れ、ノーシードからの挑戦となった秋季都大会。左腕・畠中鉄心(同)と右腕・坂井遼(はる)(同)の2枚看板を中心に、全8試合を3点以内に抑えた。坂井は決勝で125球を投げ切り優勝の立役者になった。打撃も好調で、8試合中6試合で2桁安打を記録。創価との決勝でも小島想生(そお)(同)の三塁打を含む10安打で頂点に立った。 その10日後の明治神宮大会では、同校として初の初戦突破を果たし、勢いに乗り強豪の大阪桐蔭にも勝利。準決勝で作新学院に敗れたが、自分たちの野球が全国で通用すると手応えを感じた。 秋季都大会と明治神宮大会の全11試合でチームは135安打93打点をマーク。特に、1番の飛田優悟(同)は打率5割の活躍を見せ、熊谷俊乃介(同)、小島、坂本慎太郎(1年)らも打率4割を超えている。 憧れの甲子園に、高橋は「不安は大きいけれど、夢見た舞台なので今まで通り(の野球で)いけば影響はない」と自信をのぞかせる。米沢貴光監督は「東京代表という責任を私自身感じながら、選手にも伝えながらセンバツを迎えたい。センバツに選ばれた高校はどこも強いので、一つ一つ勝利を重ねたい」と抱負を語った。 秋季都大会でエースナンバー「1」を背負った畠中は「いざ選ばれるまでは緊張していたが、(今は)うれしい。多くの人に『この投手、いいな』と思ってもらえる投球をしたい」、坂井は「秋の大会を超える気迫ある投球をしたい」と意気込んだ。チームトップクラスの打率を誇る飛田は「チームを勢いづけられるバッティングをする」と活躍を誓った。 ◇校内に号外配布「出場うれしい」 関東一のセンバツ出場決定を伝える毎日新聞の特別号外が、校内で配られた。 号外は「関東一に春切符」との見出しがついたカラー2ページ。秋季都大会の戦いぶりなどを紹介している。市川歩内野手(2年)の母真紀子さん(47)は、満面の笑みで号外を受け取り、「切磋琢磨(せっさたくま)してきた野球部が無事にセンバツ出場を果たし、大変うれしい。大会ではチーム一丸となって、一戦一戦勝ち進んでほしい」と話していた。 ……………………………………………………………………………………………………… ◇春夏通算14回の出場 1925年創立の私立校。地理学者・守屋荒美雄と初代校長・村上周三郎の「低価で良質の教育を行う学校を創設する」との志で創立された関東商業学校が前身。貫行(自らの信念に基づいて、目標に向かってやり通すこと)を校訓とする。生徒数は2218人(昨年11月1日時点)。 野球部は1927年創部で部員60人。甲子園は春夏通算で14回出場している。センバツは87年の準優勝が最高成績。OBに広島の中村祐太、巨人のオコエ瑠偉、阪神の井坪陽生(ひなせ)らがいる。 他の部活動も盛んで、チアリーダー部は昨年の世界大会で優勝。男子バドミントン部は今年度のインターハイに出場し、サッカー部やハンドボール部も全国を経験している。 ……………………………………………………………………………………………………… ◆センバツへの軌跡 ◇秋季都大会1次予選 1回戦 38―0 五商 代表決定戦 8―1 目黒日大 ◇本大会 1回戦 12―0 駒大高 2回戦 8―3 日体大荏原 3回戦 3―2 城西大城西 準々決勝 9―3 東海大菅生 準決勝 5―1 早稲田実 決勝 4―1 創価 〔多摩版〕