1億円超の高額物件ほどよく売れる … 顕在化する格差「東京でも不動産は三極化する」 #令和のカネ
都心を中心に不動産価格の高騰が続いている。全国のマンション価格は13年前と比べてほぼ2倍に。それでも都心では1億円以上の高額物件ほどよく売れているという。都内で不動産を購入した夫婦はペアローンを組むなどして費用を捻出しているが、それでも全国平均の給与所得では手が届かない次元に入りつつある。いま不動産市場で何が起きているのか。その実態を取材した。(文・写真:ジャーナリスト・小川匡則/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
1億円以上の物件は93%が売約済み
バブルとの声も聞かれる不動産価格の高騰。 国土交通省が公表する不動産価格指数によると、2010年の平均を100とした場合、今年4月のマンション価格は都内平均で190.1と、この13年でほぼ2倍になった。都内の新築戸建てでも2010年平均を100として、今年4月は125.6まで上昇した。どちらもコロナ禍に入った頃までは比較的緩やかに上昇してきたが、そこから高騰が加速している。 近年、値上がりが顕著なのが都心のマンションだ。港区で今年11月に開業予定の麻布台ヒルズは、64階建て高さ330メートルを誇る超高層タワーなどから成り、分譲価格は平均で20億円、最高価格は200億円を超えるとされる。同じく港区で、2025年に完成予定の三田ガーデンヒルズは分譲価格が最低で2億3000万円、最高で45億円とされる。これらは超高額物件といえる価格だが、昨今は1億円を超える高額物件がよく売れているという。
不動産経済研究所の調べによると、今年7月に東京23区で発売されたマンションは1542戸で、平均価格は1億3440万円。7000万円以下の物件は2割強しかない。約半数を占める1億円以上の物件は総戸数の約93%が売れているのに対して、8000万円以上1億円未満の物件453戸は約64%しか売れていない。 だが、この約20年の間で、日本国民の平均収入が増えているわけではない。国税庁の「民間給与実態統計調査」によれば、2000年に461万円だった平均給与は2021年には443万円に低下している。そのため、不動産価格の上昇に伴って、不動産の購入希望者の中には、地域や物件サイズなどの希望条件を見直さざるを得ないケースが出てきている。