「神の比率」を持つ幻のシャンパーニュ......。日本先行発売「アンリ・ジロー DP12」、1本140万円を超える超希少な味わいとは?
「アルゴンヌのオークは軍艦を造ってきた歴史があります。このキュヴェを味わうということは、まさにアンリ・ジローという船の『指揮官』の仲間入りを果たしたということです。ボトルデザインは先代当主クロード・ジローが、瓶内熟成の際にどこにも引っ掛かりがないような滑らかさを追及して作り上げました。ボトルの上はアグラフ(留め金)でもキャプセルでも留めることができます。また、ボトルの前面には金細工師のウーヴェ・シェーファーによる手作業で1本ずつ、金箔を貼っています。この金箔は1枚として同じものはなく、また擦れれば剥がれ落ちたり、削れたりしてしまう。『永遠というものの脆弱性』を、ボトルからも表現しているのです」 香りはすでに白トリュフなどのキノコの妖艶さが漂い、そこに樽由来のモカ、白い花が広がる複雑性のある構成に。口に含むと、よく成熟したカシスなどの黒いフルーツが力強く立ち上り、同時に高い酸味からくるフレッシュ感に感動を覚える。スパイシーな余韻にミネラル感が加わり、口の中にいつまでも味わいが尾を引く。酸化熟成の複雑さも加わり、とてもエレガントな味わいであると同時に、このワインがまだまだ熟成の可能性を秘めているということに、思わずため息が漏れた。
3%のリザーブワインがもたらした、黄金比を持つシャンパーニュ「DP12」。
2025年に創業400年を迎えるに当たり、アンリ・ジローが数量限定で生み出したキュヴェが「DP12」。Divine Proportion(神の比率=黄金比)という名前が付けられた、究極のボトルだ。 「毎年、できたワインの3%は必ずとっておき、実験的なキュヴェに使用したりしています。2012年は理想的な年で、グランクリュの中でもレ・ヴァルノンという、アイ村で最も痩せた土地の畑から出来たピノ・ノワール100%のワインを、2010年ごろから使い始めた卵型の陶器のタンクに実験的に保管してみました。この卵型は黄金比に基づいて設計されており、内部のワインは微妙な温度差によって、常に静かに流動し続けます。それによりワインは澱に触れ、澱が酸化防止剤の役割を果たしてくれるのです。さらに、ワインには澱からの旨味や風味も添加され、より複雑性を増します。特に赤いフルーツのフルーティさが際立つので、このタンクはぜひピノ・ノワールに使いたいと思っていたのです。そのワインに、黄金比の割合(1に対し1.618)になるようにパーペチュアルリザーブのワインを2013年にアッサンブラージュしティラージュ、2014年にデゴルジュマン(澱引き)を施しました」