「神の比率」を持つ幻のシャンパーニュ......。日本先行発売「アンリ・ジロー DP12」、1本140万円を超える超希少な味わいとは?
「ボトルデザインは、こちらもウーヴェ・シェーファーによる手作業で金箔を1本ずつ貼り付けていきました。また、アグラフはランスで金、宝石細工業を営むローラン・バラトーが、シャンパーニュの石灰を想起させるオウム貝を彫金しました。18金で出来たアグラフはペンダントトップになっており、抜栓した後もいつまでもこのシャンパーニュの味わいを思い出として身に着けることができるのです」
香りはやはりキノコを感じさせる、ふくよかな芳醇さが漂う。同時に焼きたてのブリオッシュやトーストなど、酵母の由来の香りが華やかに広がる。口に含むと非常に熟したフランボワーズ、そしてバニラが抜けていく。そして常に口の中にはミネラル感が滞在し、旨味を伴っていつまでも伸びていき、最後に若干の苦味を残して優雅に波が引いていく......。 このワインは、世界に先駆け日本で先行発売となった。2004年から正規輸入代理店を務めるアンリ・ジロージャパンとの関係も20周年を迎えるにあたり、ル・ゴルヴェ氏はこう語った。 「日本のお客様からは常に職人文化、サヴォワフェールへの深い理解がありました。他の国と比べても、圧倒的に親近感を覚える市場なのです。この特別なボトルを販売するにあたり、日本を最優先に考えるのは当然のことでした」 抜栓、サーブを担当したアンダーズ東京の森覚ソムリエは、DP12を「シームレスな、究極の球体」と表現する。 「滑らかさ、苦味、そして旨み。軽やかですが、常に余韻に残る味わい。より熟成が進むのが楽しみで、ぜひ真骨頂を味わってみたいです。いつ、誰と、何を合わせて抜栓するか......。開けるまでワクワクさせてくれる、持っているだけで幸せなシャンパーニュですね」 神は永遠に幾何学する、と哲学者プラトンは言った。黄金比によって生まれた唯一無二のシャンパーニュ、限られた本数しかないアンリ・ジロー DP12の味わいは、それを飲んだという以上の幸福感を、確かに感じさせてくれる。 ●問い合わせ先: アンリ・ジロージャパン www.kfw-henrigiraud.co.jp 編集カナイ フィガロジャポン編集部、WEBグルメ担当。大学時代、元週刊プレイボーイ編集長で現在はエッセイスト&バーマンの島地勝彦氏の「書生」としてカバン持ちを経験、グルメの洗礼を浴びる。ホテルの配膳のバイト→和牛を扱う飲食店に就職した後、いろいろあって編集部バイトから編集者に。2023年、J.S.A.認定ワインエキスパートを取得。好きなワインのタイプはイタリアをはじめとした日当たり良好系。