「『逆らえば地獄に落ちるぞ』住職にマインドコントロールされ、性暴力を14年間受けた」 口をつぐむ大僧正、真実は…
その上で「社会の目が変わってほしい」とも願う。 「あらゆる場所で性被害に遭い、虐げられてきた多くの女性たちがいる。特に信仰心を利用された被害者は声を上げることが困難だ。私は多くの女性たちの命、魂、人権を感じて一緒に闘っている。傷だらけだが、同じことが繰り返されないために声を上げるしかない。当事者がそうするしかないのが、今の社会の現実だ」 ▽コメントできない 1月下旬、天台宗務庁(大津市)は叡敦さんが送付した懲戒審理申立書を受理。3月には叡敦さんから聞き取りをした。記者会見した佐藤弁護士はこんな指摘をしている。 「刑事事件で有罪になっていないからといって許されるわけではない。再発防止と原因究明の観点から、第三者委員会設置と公正公平な調査を求める」。ただ、「閉じた空間」での性加害が、内部で適切に調査されるかどうか分からず、不信感も抱いている。さらなる手段として、人権救済の申し立てなども検討しているという。
天台宗務庁は取材にこう答えた。「重要な問題と考えているが、調査の途中なのでコメントできない。事実確認を粛々と進める」 住職に取材すると、3月中旬に天台宗務庁で、担当の参務2人から3時間にわたる聞き取り調査を受けたと明かした。「真実を話してきました」と語る一方、事実関係については回答を拒んだ。 「天台宗から取材には応じないようお達しを受けている。コメントできない」 四国のこの寺は、祖父の代から70年以上続く信者寺だと説明する住職。「15歳の時から寺に携わっている。信者さんと1対1で相談に乗ることもある。信者さんから慕われている寺だと思っている」 住職は大僧正について「40年来の師弟関係。師匠なので尊敬している」と語った。その大僧正は取材にこう語り、事実関係について口をつぐんでいる。 「天台宗からコメントを控えるように言われている。言いたいことはたくさんあるが、何も言えない」