【闘病】もっと危機感を抱いていれば… 「腟がん」の手術後に「敗血症」を発症して
意識を失い、気がついたら集中治療室にいた
編集部: どんな病気なのでしょうか? さやちぇるさん: 腟がんは腟壁(腟の壁)の表面をおおう粘膜から発生する腫瘍で不正出血やおりもの、性交時の痛み、下腹部の痛み、排尿時の痛み、腟内のしこり、便秘などの症状が出ますが、初期にはほとんど表れず、症状が表れたときには既に進行していることがほとんどのようです。 編集部: どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか? さやちぇるさん: 腫瘍の位置や厚みなどを見ると手術はできないので、放射線治療と抗がん剤治療を並行しながら進めていくとのことでした。「腫瘍に厚みがあり石のように硬いため、放射線治療の回数は40回の予定で腟内照射に組織内照射を組み合わせて行います」と言われました。 腟内照射とは、子宮や腟に専用の器具を挿入して照射する治療で、組織内照射は、腫瘍に直接針を刺し腫瘍内部に放射線源を送り込むことで、腫瘍に集中的な治療が可能で私の場合は針を5本刺して治療を行うと説明されました。 編集部: そのときの心境について教えてください。 さやちぇるさん: 腟内照射や組織内照射は、何度調べても「痛みが強い」という情報があったので、受けるかどうかギリギリまで迷いました。腟内、しかも針がどうしても怖くて勇気がでなくて悩み、泣いていました。 先生からは、「どうしても嫌でしたら、外から当てる放射線の回数を増やして治療する方法でも良いですが、再発の可能性は上がります」と言われ、死ぬことのほうが怖かったので、腟内照射と組織内照射を受けることに決めました。 編集部: 実際の治療はどのようにすすめられましたか? さやちぇるさん: シスプラチンという抗がん剤を1泊2日の入院で6クール受けました。副作用はそこまで強くなく、脱毛のほかに吐き気や耳鳴りなどだけで終えることができました。 放射線治療では、回数を重ねるごとにデリケートゾーンのただれなどが出てきて、歩くと擦れるので痛みに耐えられず移動は全て車椅子にし、軟膏を処方してもらいトイレの度に塗っていた日々でした。 腟内照射と組織内照射では、1回目は意識が朦朧とした中の治療でしたが、あまりの痛さに飛び上がるほどでした。 我慢できないほどの痛みでしたので、動くと危険ということもあって2回目と3回目の腟内照射と組織内照射ではさらにしっかりした麻酔をかけてもらい、治療を受けました。 編集部: 現在に至るまで、何か印象的なエピソードなどあれば教えてください。 さやちぇるさん: 腟内照射と組織内照射を全て終えて退院する予定でしたが、微熱があり、少し炎症反応も高いということで、急遽そのまま入院することになりました。 「体調は悪くないのになぁ」と思っていましたが、急に悪寒と熱さが交互にきて、電気毛布をつけたり外したりしてもらっているうちに息も苦しくなってきて、人が何重にも見えて気分が悪くなりました。 「しんどいです……」と話したところまでは覚えているのですが、そこから記憶がなく、気がついたらICUの病室でたくさんの先生に囲まれていました。 ガラス越しの窓から家族が泣いている姿も見えて、先生から「敗血症を起こしていて、もう少し対応が遅れていたら死ぬところでした」と言われました。 組織内、腟内照射の処置の時に菌が入り込んだんだろうと言われ、治すための処置で菌が入り敗血症になるなんて想像も付かなかったので驚きました。