飲酒習慣があると薬の効きが悪くなる!【40代、50代・薬と上手に付き合う方法⑨】
「お酒と薬の同時摂取はよくない」と一度は聞いたことがあるのではないだろうか?しかし、それがどうしてダメなのか? それならどのくらい時間をずらせばいいのか? そもそも、飲酒習慣のある人は薬の効きが悪くなるという説もある。そんな薬とお酒の関係について、薬剤師の鈴木素邦(そほう)さんに伺った。
薬とアルコールの有害性は未知数にある!
持病がある人は薬を毎日のように服用していることだろう。そんな人がお酒を飲む機会があった場合は? もしくは飲酒習慣のある人が、突然、服薬することになった場合は? そんな薬とお酒(アルコール)の関係を知っておくことは、薬と上手に付き合うためには大切だ。 ※薬と薬の飲み合わせ、食べ合わせに関しては第7回<薬と一緒に飲んではいけない飲み物や同時服用NGの薬とは?>参照 「薬とお酒(アルコール)を同時摂取したときの弊害には2種類あります。ひとつは“薬の効果が増幅”してしまうことです。 アルコールを少量摂取すると、脳の中枢神経の抑制系にブレーキがかかるので、軽い興奮状態になります。ほろ酔いで幸せな気分になり、いつもよりおしゃべりになるのがその状態です。 しかし、さらに飲酒が進むと、中枢神経のさまざまな部分にブレーキがかかるので、頭がボーッとしてきて、足元がおぼつかなくなります。中には怒りっぽくなったり、泣き出してしまったりと感情のコントロールが利かなくなることも。 薬の中には、この中枢神経に作用するものがあります。その代表がベンゾジアゼピン系の睡眠薬、抗不安薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン系の風邪薬や花粉症の薬などです。これらとアルコールを同時に摂取すると、中枢神経の抑制作用が増強します。そのため、眠気が増し、寝る前や途中で起きたときのことを忘れたり、運動機能が低下して転倒のリスクが高まります。 病気によっては、薬を飲まないと病状が悪化して危険なことがあります。そんな場合は飲酒を控えてください。私が患者さんとお話しするときは『絶対にやめてください』とお伝えしています。 また、薬とアルコールを同時に摂取しなくても、体内にアルコールが残っている可能性がある1~2日間は、これらの薬は飲まないことをおすすめします。特に、自動車の運転、機械作業などを行う場合は、体内の残ったアルコールと薬が相互作用を起こし、薬効が強く出て眠気や集中力を欠く状態を起こす可能性があり、危険です。 病状や薬の種類によって対応が変わってくるので、必ず主治医に相談してください」(鈴木さん)