「脱会には居場所が必要」「オウムの教訓生かされず」 鈴木エイト氏×江川紹子氏が語る旧統一教会問題
損害回復には韓国への送金止める仕組みが必要
今年7月に起きた安倍晋三元首相の銃撃事件。その後、旧統一教会の問題が明らかになるなか、主に二つの論点に焦点が当たった。一つは献金被害に遭った人をどう救済するかという議論、もう一つは旧統一教会という宗教法人を解散させるべきかという議論。11月17日に時事通信が発表した世論調査では、旧統一教会に「解散命令を請求すべき」は69.4%で、「すべきでない」の6.9%を約10倍上回った。ただし問題は、法人を解散させても、それだけですべて解決とはならないことだ。 ──過去に解散命令が出た団体には、地下鉄サリン事件など複数の殺人事件を起こしたオウム真理教や霊視商法詐欺事件で多額の献金を信者から取り立て、有罪が確定していた明覚寺があります。これらの事例を見ても、重要なのは宗教法人の解散だけではなく、その団体から損害賠償などでお金を取り上げ、団体が存続できないようにすることのようです。
エイト 私が得ている情報では、教団の本部がある韓国の財団には数百億円ほどの現金資産があるそうです。もともと、これまで日本の旧統一教会は日本の信者から集めたお金を韓国の財団に年間数百億円も送金してきた。損害賠償も大事ですが、その前に韓国への送金を止めるような仕組みをつくらないと、実質的な損害回復はできないと思いますね。 江川 オウムのケースで言えば、解散命令が出されると、法人解散の手続きをする弁護士の「清算人」という人がつきます。その清算人が財産を差し押さえることを最初にしていたのですが、すぐにオウムが破産したので、「破産管財人」という弁護士に引き継いだ。その破産管財人がいろいろなところからお金をかき集めていった。あの時は特例法をつくって、国や自治体の債権よりも被害者救済を優先することになって、被害者に何回かにわたって少しずつお金を配当していきました。 ──とすると、もし旧統一教会に解散命令が出されたとしても、清算人がつくところがスタートになるわけですね。 江川 そう。だから、それまでに教団関係者が(資産を)隠してしまう可能性はありますね。不動産は差し押さえできるとしても、現金資産は隠すのではないでしょうか。 エイト そうした資金が散逸しないようにできないんでしょうかね。 江川 難しいです。現段階で旧統一教会の破産宣告を申し立てても通らないでしょうし、また、かりに1000人の原告で多額の損害賠償請求をしたとして、裁判には時間もかかる。時効もありますしね。