「気候危機」で温暖化対策が岐路に立つ中、COP29開催 危機感共有して前進できるか焦点
こうした危機感を背景にCOP29の議長を務めるアゼルバイジャンのババエフ環境・天然資源相は11日の開会式で「(気候危機の被害によって)人々は暗闇の中で死んでいるが、単に同情では済まない」と各国代表らにGHG削減対策の強化を求めた。そして「交渉は困難だが、締約国間の溝を埋めるためあらゆる努力をしていく」と強調している。
また、UNFCCCのスティール事務局長は「(GHGを多く出す)世界の3分の2の国が排出量を速やかに削減できないならば、すべての国が(気候危機による甚大被害という)残酷な代償を払うことになる。『1.5度目標』を届かないところに逃がしてはいけない」と述べた。
トランプ氏「掘って掘って掘りまくれ」
11月5日に行われた米大統領選挙は共和党候補のトランプ氏が勝利した。「激戦7州」でも副大統領としてバイデン政権を支えてきた民主党のハリス氏を抑えるなど、事前の予想を覆す「大勝」に近かった。このほか、連邦議会選挙では上院、下院とも共和党が議席の過半数を確保した。バイデン政権は環境政策を重視してきたが、これらの選挙結果により、「自国第一主義」の下、米国の環境・エネルギー政策は大きく転換される可能性が高まっている。
米メディアの報道によると、トランプ氏は選挙期間中の公約でパリ協定からの離脱を宣言していた。そして「雇用を生み出す」として石油・天然ガス産業重視の姿勢を鮮明にし、激戦州で「掘って掘って掘りまくれ(ドリル・ベイビー・ドリル)」などと何度も発言。バイデン政権の気候変動対策を「新たなグリーン詐欺」とまで呼んでいた。
トランプ氏は来年1月に再び大統領に就任後、早々にパリ協定を離脱する手続きをするとみられている。前回のパリ協定の離脱期間は数カ月だったが、今回は3年以上に及ぶ可能性がある。米国内ではUNFCCCそのものからも脱退する可能性があると指摘されている。さらに既に米政府として約束したはずの途上国向けの基金(緑の気候基金)への資金拠出も撤回する可能性があるという。