「気候危機」で温暖化対策が岐路に立つ中、COP29開催 危機感共有して前進できるか焦点
2009年にコペンハーゲンで開かれたCOP15では、先進国は20年までに年1000億ドルの気候資金を拠出することを約束。パリ協定が採択された15年のCOP21では、改めて20年までに資金供与する達成目標を確認し、それを25年まで継続し、25年以降の新たな資金を用意することで合意した。しかし20年までの約束は守られず、22年に2年遅れでようやく資金は1000億ドルを達成した。
今回のCOP29では2025年以降の新たな気候資金が最優先議題になった。事務レベル交渉で途上国は現状の支援目標である年1000億ドルを大幅に上回る「年数兆ドル」を求めている。GHGを極力出さないためにも、再生可能エネルギーの拡大などに多額の資金を必要としているのが理由だ。
これに対し、先進国側は「この額はとてものめない」と強く難色を示している。途上国側も最初から「年数兆ドル」の資金で合意が得られるとは考えていないようで、どの程度の増額で決着するかも焦点だ。
WMO「危機に瀕するパリ協定」と警告
UNEPが10月24日に公表した報告書によると、2023年のGHG世界総排出量は前年から1.3%増加して571億トンとなり、過去最多だった。総排出量は1990年以降、特に2015年にパリ協定ができてからはこの協定を中心にした多くの国の努力にもかかわらず、増加傾向に歯止めがかかっていない。
UNEPの報告書は、各国が現在掲げる2030年までの削減目標が仮に実現できた場合でも2.6~2.8度の気温上昇が見込まれると指摘。「1.5度目標」の実現には30年までに総排出量を19年比で42%、35年までに57%削減する必要があると指摘している。必要なGHGの削減量と現状の排出実績の乖離(かいり)は極めて大きい。
WMOはCOP29初日の11日に今年9月までの世界の平均気温は観測史上最高になり、産業革命前と比較して1.54度高かったと発表した。今年1年の平均気温だけで「1.5度目標が達成できなかった」とは断定できず、年の幅をもって見る必要があるが、WMOは「パリ協定は大きな危機に瀕している」と警告した。