「気候危機」で温暖化対策が岐路に立つ中、COP29開催 危機感共有して前進できるか焦点
こうした国際社会を崩壊させるような厳しい状況が続くなかでトランプ氏が掲げる自国第一主義の傾向は、これまで温暖化対策を先導してきた欧州でも見られる。6月の欧州議会選挙では、環境政策に積極的な政党が議席を減らした。こうした欧米の動きは気候変動対策の国際枠組みにほころびを生じさせかねない。
しかし、気候変動による自然災害の激甚化という人類共通の脅威に対して国際社会が1つになって対峙することを諦めてしまっては、今世紀後半の地球環境は想像を絶する厳しい状態になる恐れがある。気候危機を共有してCOP体制を前進させるしかない。
大気中に増えるGHGに国境はない。自然災害の甚大化という現実は、各国が脱炭素化を進め、再エネを基本とした社会・経済構造に大転換することを求めている。
内城喜貴/科学ジャーナリスト、共同通信客員論説委員