内閣府の基調判断は2023年5月以来の上方修正…地震や台風は「8月の景気」にどう影響したか【解説:エコノミスト宅森昭吉氏】
7月に新型コロナウイルス感染者数は一時的に増加も…関連DIは8月に改善
7月は「新型コロナウイルス」関連現状判断で37人がコメントし、DIを作ると50.7で6月と同水準になりました。先行き判断で54名とコメント数が増加し、「新型コロナウイルス」関連先行き判断DIは48.6と22年11月の48.6以来の50割れになりました。最近の第11波で感染者数が増加していたことへの懸念が背景にあったとみられます。 8月は「新型コロナウイルス」関連現状判断で20人がコメントし、DIを作ると53.8で7月から3.1ポイント改善しました。先行き判断で29名とコメント数が減少し、「新型コロナウイルス」関連先行き判断DIは55.2と再び50超に戻りました。最近、第11波での感染者数が落ち着いてきたことが背景にあるとみられます。 コロナ禍が始まったばかりの2020年2月・3月には先行き判断で1,000名を超えるウォッチャーがコメントしていましたが、24年6月には26名とこれまでで最も少ない数字になりました。7月には54名と、依然低水準ではあるものの一時的にコロナ感染者数が増えたことで増加しましたが、8月は29名に低下しました。
8月の「外国人orインバウンド」関連現状判断DIは2ヵ月ぶり60割れ、先行き判断DIは5ヵ月連続60割れも、今年はともに50超を継続
7月の「外国人orインバウンド」関連の現状判断DIは60.4と3ヵ月ぶりに60台に戻りましたが、8月は54.5と2ヵ月ぶりに60を割り込みました。現状判断DIは、22年5月から景気判断の分岐点50超が維持されています。 一方、先行き判断で「外国人orインバウンド」関連DIは、22年4月の46.9以来18ヵ月ぶりの50割れになった23年10月49.9から上昇に転じ、24年3月は23年7月69.8以来の水準である67.6まで改善してきましたが、4月は59.7で僅かですが60割れとなり、その後5月55.6、6月54.3、7月56.7、8月55.3と50代半ばの安定推移としています。
8月「最低賃金」関連先行き判断DIは41.8と50割れ、コメント数は52名
2024年度の最低賃金は全国平均1055円で、23年度より51円上がることになりました。7月末に厚労省の審議会が示した引き上げの目安額は50円でしたが、人手不足や隣県との格差への危機感から各地で上乗せが相次ぎました。徳島県では84円と目安を34円上回る異例の決定がなされました。目安を上回ったのは27県で、10月以降に各地で適用されることになります。 8月「最低賃金」関連先行き判断DIは41.8と7月の38.6に続き50割れとなりました。コメント数は7月の35名から52名に増加しました。 東北のスーパー店長は「最低賃金改定などで収入が大きく増えることが予想されるため、消費も活性化するとみている」と「やや良くなる」いう判断理由をコメントしています。一方、甲信越の食料品製造業・製造担当は「最低賃金上昇分で年間70万円以上、原材料費80万円以上となると、商材単価を今の倍にしていかないと、吸収できない。ただし、本当に価格を2倍にすれば、スーパーでは間違いなく売れなくなる。このはざ間で新しい売り方を考えないといけない」と「悪くなる」いう判断理由をコメントしています。