内閣府の基調判断は2023年5月以来の上方修正…地震や台風は「8月の景気」にどう影響したか【解説:エコノミスト宅森昭吉氏】
先行き判断への円高の悪影響はそれほどない見込み
7月・8月「価格or物価」関連DIは6月に比べるとやや改善、コメントした景気ウォッチャー数は6月から減少傾向 8月の「為替」関連先行き判断DIIは51.3になり、6月43.9、7月51.0から改善しました。6月の調査期間(25日から月末)のドル円レートは1ドル=160円台の過度な円安局面が多く、先行きの物価高懸念、景況感を悪化懸念が生じていました。8月の調査期間(25日から月末)のドル円レートは1ドル=140円台半ばの水準で推移し、先行き判断への円高の影響が注目されましたが、それほどの悪影響はなさそうだという結果になりました。 6月「価格or物価」関連現状判断DIは40.6で23年1月の35.1以来の悪い水準になり、コメントした景気ウォッチャーは247名と、こちらも23年1月の250名以来の水準になりました。しかし、7月の「価格or物価」関連現状判断DIは42.4で6月から1.8ポイント改善、コメント数は182名まで減少しました。8月の「価格or物価」関連現状判断DIは43.2で7月から0.8ポイント改善、コメント数は179名まで減少しました。 6月の「価格or物価」関連先行き判断DIは42.4、コメント数343名でした。7月ではDIは43.8、コメント数は272名、また8月ではDIは42.7、コメント数は257名で、ともに6月と比べると、DIは小幅ながら改善・コメント減で、円安などが物価高に寄与し先行きの景況感悪化を招くリスクが低下したと判断していることがわかります。
7月31日の金融政策変更を反映した8月調査で、「金利」についてコメントした景気ウォッチャー数は前回政策変更があった3月以来の水準に増加
景気ウォッチャー調査で「金利」についてコメントしたのは2月では現状2名、先行き7名だけだったのが、3月は現状16名、先行き60名と一気に増えました。日銀の金融政策の影響が反映されたかたちです。その後、4月は現状5名、先行き22名、5月は現状7名、先行き25名のあと、6月は現状4名、先行き12名と振幅をともなって減少していました。7月は調査最終日の31日に日銀の金融政策がにわかに変更されましたが、現状0名、先行き26名のコメント数でした。金融政策変更の影響を十分反映した8月は現状14名、先行き40名と3月以来の水準に増加しました。 6月の「金利」関連先行き判断DIは31.3で30台に低下していましたが、7月は44.2で40台に上昇。8月では45.6に上昇しました。50割れですが、判断DIは緩やかに改善しています。