ピッチャーの特徴を取り入れた投球ロボット 早稲田大学で開発中
ロボットの技術は急成長し、いまや私たちの生活のさまざまな場面で活躍、人間をサポートしています。大学でもロボットを扱う学部・学科が数多くあります。ロボットは幅広い分野で研究開発されているため、具体的にどの分野で何を学び、どんな力を身につけられるのかを詳しく調べてから、ロボットに関する学科を選ぶことが大切です。 【写真】高西研究室でのディスカッションの様子。一番左が早稲田大学創造理工学部総合機械工学科4年の福田大朗さん(写真=早稲田大学提供)
ロボットというと、アニメや映画などに出てくる人間の形に似たものをイメージする人がいるかもしれません。しかし、現代のロボットの定義は幅広く、「センサー、知能・制御系、駆動系の3つの要素技術を有する、知能化した機械システム」(日本ロボット工業会)という定義があります。つまり、さまざまな工学の技術を1つの形に統合した機械システムのことを指し、ロボットを学ぶには機械工学、制御工学、電気工学、情報工学などの分野を学ぶ必要があります。では、工学部ではどのような学科でロボットについて学べるのでしょうか。 わかりやすいのは、「ロボティクス学科」「ロボット学科」といった名称の学科です。信州大学繊維学部機械・ロボット学科、近畿大学工学部ロボティクス学科、立命館大学理工学部ロボティクス学科などがあります。工業大学では、日本工業大学先進工学部ロボティクス学科、千葉工業大学先進工学部未来ロボティクス学科、大阪工業大学ロボティクス&デザイン工学部ロボット工学科など、多くの大学で設置されています。 近畿大学工学部の環境ロボティクス学科は、1年次にロボットの開発に必要な基礎知識と技術を修得し、2年次からは「ロボット設計コース」もしくは「ロボット制御コース」を選択できます。設計コースでは、ロボットを設計・開発するための知識と技術を、制御コースではロボットの知能化を実現するための知識と技術を重点的に学びます。 ロボットに特化した学科ではなくても、機械工学、電気工学、情報工学などの学科では、多くがロボット開発の研究室を設置しており、ロボットについて学ぶことができます。早稲田大学創造理工学部総合機械工学科4年の福田大朗さんは、高西淳夫教授の研究室で、投球ヒューマノイドロボットの開発に取り組んでいます。 「人間のピッチャーのようにボールを投げるロボット(投球ヒューマノイドロボット)の研究を、スポーツ科学が専門の教授と共同で行っています。ロボットの設計には野球選手の投球動作のデータを使っていて、将来的に、大谷翔平選手のような有名選手と同じ投球ができるロボットが実現すると、バッティング練習用のピッチングマシンとして使えるかもしれません。また、どのような投球フォームが最も効率よく速い球を投げられるのかを研究することで、体への負担を軽減し、ケガを防げるかもしれません。夢は広がります」(福田さん)