4月から国家資格化の日本語教師、薄給と激務、非正規雇用、高齢化の実態 #生活危機
日本語学校に勤める教員の担当授業時数は「1週間あたり、おおむね25単位時間を超えてはならない」と、今回の国家資格化も含めて施行された日本語教育機関認定法で規定されている。「授業の質を保つ」という理由だが、働ける時間に制限があるため給料も低く抑えられてしまう。とりわけ時給で働く非常勤はきつい。どれだけがんばっても週25時間×時給(1000円台~2000円くらいが多いといわれる)が上限だ。 「日本人なら誰だって日本語くらい教えられるだろう」という偏見も、低賃金の背景にあると多くの日本語教師が語る。ひらがなカタカナ漢字が入り交じり、同音異義語や敬語の使い方なども複雑な日本語を外国人に教えるのは、専門的なスキルが必要だ。しかし「誰でもできる仕事のはず」という思い込みのある日本語学校の経営者さえいるという。その感覚もまた低賃金につながる。 そして、日本語教師の仕事は授業だけではない。学校の事務、留学生の生活相談、学生寮の管理なども任されているケースが多い。ときには具合の悪くなった留学生を病院につれていくこともある。そのすべてがサービス残業だったりもする。
キャリア8年の日本語教師Yさんは言う。 「留学生の『在籍管理』も教師の仕事です。残念ながら一定数の留学生は学校を休みがちになってそのまま失踪してしまうのですが、これを防ぐために面談を重ねたりアパートを訪ねたり、国のご家族に連絡したりするなどの対応をします」 時間を取られるこの在籍管理が、実は日本語教師の「最重要業務」になっているのだという。 「日本語学校が国から『適正校』に選定されるには『過去1年間で、留学生在籍数のうち不法残留者の割合が5%以下であること』という条件があるからです」 適正校は留学生の在留許可の申請に必要な書類が簡略化され、在籍人数の増員も認められる。つまり適正校になれば経営は安定するが、そのための業務を薄給の日本語教師に押しつけている学校も多いのだとYさんは語る。